3.トイレ:「何か買ったほうがいいかな」という意識トイレはコンビニの利便性提供における基本要素だ。比較的新しいコンビニならば男女別のトイレを設置している。商品の購入をしなくてもトイレを使ってよいのだが、トイレ利用時には店員に声をかけるよう求められるので、このひと手間が客に「何か買ったほうがいいかな」という意識をもたせるようだ。
就職面接に行く学生がコンビニのトイレでスーツに着替えたり、コンビニの駐車場で仮眠したトラック運転手が顔を洗ってリフレッシュするために使うこともある。災害が発生したときにもコンビニは店を閉めることなく、トイレを探す人々を受け入れる。
4.レジカウンター:子どものおつかいの「初ステージ」にもコンビニのレジカウンターは、人と人とのあいだでさまざまな、言語的、非言語的なやりとりが交わされるメインステージだ。
商品やサービスの精算を行うとともに、POSレジで顧客データを集める。新人店員が苦戦したり、外国人労働者がつたない日本語を駆使していたりする様子も見受けられる。
レジカウンターは、子どもが商品とお金を交換する仕組みを学ぶ場所でもある。たとえば、4歳の女の子が「初めてのおつかい」で家族から持たされたお金を出したら、コンビニオーナーはその子がお釣りを落とさないように、小銭をビニール袋の中に入れてやったりする。
カウンターに立つ店員はさまざまな接客をしなければならない。ほとんどは手早く、記憶に残らないやりとりだが、特別な印象を残すこともあるようで、裏にメールアドレスや電話番号を書いたレシートを渡されることもある。
ストーカーじみた客がいれば、店員同士が団結して壁となり、標的にされた人を危険がなくなるまでバックヤードに避難させる。緊急事態が起きた場合には、カウンターの下にある赤いボタンを押せば警察に連絡が行く。
ホワイトロー博士自身が描いた「コンビニ店内俯瞰図」『トーキョー・トーテム 主観的東京ガイド/Tokyo Totem – A Guide to Tokyo』(2015年、フリックスタジオ刊)より)
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