映画『グリーンブック』で主人公たちを乗せて旅したキャデラックは最高にシブかったし、『ゴーストバスターズ』で主題歌をバックにニューヨークを疾走するキャデラックは今でも鮮明に覚えている。
そんな、実はキャデラック好きのオーシャンズ世代が、今も“あの頃”のイメージだけでいるのは少しもったいないかもしれない。
その理由は、キャデラックがこのほど立て続けに発表した2台のコンセプトカーだ。
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キャデラック「ソレイ」。同社の熟練工による手づくりのラグジュアリーコンバーチブルBEVが表現されたコンセプトカー。
まず7月にお披露目されたのは、自動車大国として全盛期だった頃のアメリカを彷彿させる「ソレイ」。
1950年代に実際採用されていたボディカラー「マニラ・クリーム」を、職人が手作業で塗装して仕上げたという。キャデラック流の、ゆったりとしたオープンエアを楽しめるBEV(電気自動車)だ。
「旅の発見を再構築し、周囲の自然界とつながるパーソナライズされたドライビング・エクスペリエンスを思い描いた」とする。
キャデラックのコンバーチブルの血統を現代的なフォルムで表現した、低くて長いエレガントなエクステリアデザインには、新しさもあり、ノスタルジックもある。
もしもフィッツジェラルドが『グレイト・ギャッツビー』で描いた狂騒の’20年代にこの車があったら、きっと人気を得ていただろう。
サイドから見ると、スッと美しく伸びたフォルムが印象的だ。
何しろガラスの扉に覆われたドリンクセラーまである。
大邸宅の広大な庭で深夜まで開かれたパーティに飽き足りない紳士淑女たちが、お抱え運転手に「海まで行ってくれ!」と言って乗り込むにはぴったりなコンバーチブルだ。
後席の後ろに備わるドリンクセラーには、専用のクリスタルグラスも用意されている。
酔っていないときに見るソレイも、また甘美な輝きを放つ。
シートを覆うナッパレザーに採用されているピンクの顔料は、太陽の日差しの加減で微妙に色が変化し、件のドリンクセラーのガラス扉もまた虹色に輝く。
シート背面をはじめ、寄せ木細工で備えられたウッドパネルは、樹木の導管をそのまま活かしているので、見た目が美しいだけでなく、触れば凹凸も感じられる。
天然木を縁取るアルミニウム素材の色調にも、美しく色が変化するような工夫が施されている。
一方で、インストゥルメントパネルの湾曲に従って左右いっぱいに広がる55インチの大きなディスプレイをはじめ、キャデラックの最新技術がふんだんに採り入れられている。
コンセプトカーゆえ詳細な数値は一切不明。しかしソレイのエッセンスをたっぷりと受け継いだ市販車が、将来登場することを期待せずにはいられないほど、往年のキャデラック好きにとっても魅惑的なBEVだ。
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