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名店① 函館代表・開店と同時に売り切れもある「滋養軒」



まず、最初に紹介するのは「滋養軒」。

名実ともに函館を代表する実力店であり、「星龍軒」なきあと、「函館でラーメンが1杯しか食べられないのなら、迷わず『滋養軒』に向かえ」と言われるほどの必訪店。いくら函館のほかの店を訪問していても、「滋養軒」が未訪なら「函館塩ラーメン」を知ったことにならない。それほど、函館ラーメンシーンにおいて重要な位置づけを担うのが同店だ。 

店舗の場所は、JR函館駅、市電函館駅前停留場から徒歩5分弱。至便な立地だが、知名度が全国に鳴り響く実力店であることに加え、前述した駅前に店舗を構えていたほかの名店が立て続けに閉店してしまったことから、現在は、客足が同店へと集中。
 

休日などは、至高の1杯を求めて開店前から50名を超える客が詰めかけ、11時半の開店と同時に「売り切れ宣告」が出されるほど驚異的な人気ぶりを誇る。

ちなみに私は、11時15分に店前に到着したが、ラーメンを食べて店をあとにするまでに2時間弱の時間を要した。函館観光の時間を確保したいのであれば、開店する1時間前には、店前でスタンバっておくことを強くおすすめしたい。
 


現在、同店が提供する麺メニューは、「函館塩ラーメン」「函館醤油ラーメン」「味噌ラーメン」など。「塩」と「醤油」については、「ワンタンメン」にすることも可能。もちろん、初訪問時に食べるべきは、「塩ラーメン」か「塩ワンタンメン」。特に、函館では「ワンタンメン」を出す店が少ないため、ここでは「塩ワンタンメン」をオーダーするのがベストだろう。
 

 
丼の底まで見通せそうなほどの透明感におのずと視線が釘付けになる清湯スープは、動物系素材(鶏ガラ・豚骨)に、香味野菜と昆布を加え、スープを濁らせないよう、細心の注意を払いながら炊き上げたもの。

昆布の滋味をしっかりと利かせることで、類まれなほどのコク深さを演出することに成功している点も、特筆に値する。塩ダレのうま味のクオリティも極めて高く、ひと口で食べ手の胃袋を鷲掴みにするだけの牽引力を持ち合わせる。

このスープに合わせる麺は、函館市内においては珍しい自家製。店舗の2階で毎日製麺するストレート麺は、麺肌滑らかで、のど越しも抜群。スープとの相性も、長年の営業経験が余すところなく活かされ、この上なく良好だ。

ご当地ラーメンの範疇を超え、「淡麗塩ラーメン」として捉えても、全国屈指の水準の高さを誇る1杯であることに疑いを差し挟む余地はない。

創業80年近くに及ぶ老舗の実力は、決して伊達ではない。行列待ちの苦労も瞬時に吹き飛んでしまうほど、素晴らしい1杯だった。
滋養軒
住所:函館市松風町7-12
営業:11:30〜14:00
定休:火曜・水曜


4/6

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