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ウォーキングの知られざる経済的価値

ーーウォーキングの身体的効果について教えていただけますか?

ウォーキングの身体的効能は幅広く、高血圧改善、肝機能改善、糖尿病改善、腰痛改善などなど挙げればきりがありません。運動で骨を鍛えるのはなかなか難しいのですが、ウォーキングはかかとから地面に入るため、骨にも刺激を与えることができ、骨粗しょう症改善にもつながります。

ウォーキング一歩にどのくらい経済的価値があるのかを検証している研究者がたくさんいらっしゃいます。国土交通省の資料によると、歩くことが心身に及ぼす影響を考慮し、特定の集団の経年的な調査から医療費抑制効果を把握すると、一日一歩あたりの価値は0.065~0.072円といわれています。

ーーつまり、1000歩を歩いたら65円ということですね。先生が指導された方の中で、30〜40代でウォーキングすることによって健康面での改善が見られた、具体的な事例があったら教えていただけますか?

社員研修や社会人を対象にしたセミナーを開いているのですが、中でもスポーツをやっている方はウォーキングによって、身体の土台である体幹を見直すことで前よりも動きやすくなったとか、俊敏性が上がったという方もおられます。

また、股関節を自分の意志でうまくコントロールできると、重心移動がうまくできるようになるため、ゴルフの飛距離も伸びるようになったという声もいただきました。

さらにパソコンや携帯ばかりみているとどうしても前かがみになるため、正しい姿勢でウォーキングすることで肩こり、猫背、腰痛も改善されますね。また、お腹を意識して歩くことでお腹周りのお肉も減らせます。

ジムを飛び出し、五感を使ってウォーキングしよう

shutterstock

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ーーウォーキングのメンタル面での効能を教えてください。

ジムのトレッドミルでもエクササイズのウォーキングは可能ですが、おすすめは外に飛び出して、五感をフルに活用して、風や太陽、香りを感じながら歩くとリラックス効果があります。そして、人がリラックスした時に良いアイディアが浮かんでくるものです。

脳と運動の関係に関する研究では、どんな環境でウォーキングするかでメンタル面での影響が大きくことなることが分かっています。

例えば、雑踏の中で人にぶつかりながら、信号待ちをしながら歩くのと、静かな山の中で一定のリズムで歩き続けるのとでは、メンタル面での効果はまったく異なります。

歩くことに集中することで、後者の環境で歩いた方がオキシトシンが分泌されますから、モヤモヤしている30~40代におすすめしたいですね。


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