“ベンツのよう”と形容される、知る人ぞ知るニューレトロフェイス
宮崎さんが選んだ「ルーチェ」は、マツダがかつて発売していた高級サルーン。デザインやドライビングフィールは当時のベンツを目標にしていたとされ、ご覧の通りのスクエアなニューレトロフェイスが特徴だ。
ヤングタイマーのなかでも、知る人ぞ知る国産セダンを選んだのは、「小さい頃、家族でこの車種に乗っていたから」という個人的な車の原体験によるところが大きい。
「だからもう完全にデザイン優先、ロマンを最優先に選びました」。
必要に迫られていたわけではない。であればもう少し実用性を重視して車を選んでいたと、宮崎さんは語る。
「30歳を目前にして、クルマを所有するライフスタイルを実践したいと思ったんですよ。この考え方自体、昔ながらのものかもしれませんが。身も蓋もない表現をすると、格好つけたかったんです(笑)」。
ファッション業界に身を置くからこそ、それが仕事や私生活のモチベーションに繋がることを、肌感覚で理解していたのだろう。
草野球が趣味の宮崎さん。トランクにグローブやウェアを詰め込み、試合に行くことも。
そんなこんなで、自身にとって最もロマンを感じさせてくれる「マツダのルーチェ」を決め打ちで探し始めた宮崎さん。ほどなくして出物が見つかる。
「通常のサイドミラーではなく、クロムメッキのフェンダーミラータイプで探していたんですけど、山梨県のショップでよい出合いがありまして。ひょんなことから前のオーナーさんとお会いする機会に恵まれたのですが、『まさか20代の方が乗り継いでくれるなんて』と、驚いてらっしゃいました」。
その年配の前オーナーさんは、世代の違う宮崎さんのためにと当時の紙パンフレットを探し出し、納車時にプレゼントしてくれたそう。
「当時のパンフレットをいただいたときはうれしかったです。改めて大切に乗りたいなと思いました」。
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