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すべての人物を特定し手記を完成させていく醍醐味


ここで、この『リターン オブ ジ オブラ・ディン』というゲームは、オブラ・ディン号に乗っていたすべての人物の名前とスケッチを一致させ、かつ死亡しているならば明確な死因を特定することが目的であることがわかりました。

例えば先ほどの会話から、銃を撃ったのが船長であることはわかります。

しかし、撃たれた人物が誰なのかは先のワンシーンを見ただけでは見当もつきません。



撃たれた人物が登場するほかの回想シーンを見ることで、彼が何者なのかを推測していくのです。

船員は50名を超え、死因も「銃殺」や「殴殺」など多数の項目が存在します。ひょっとしたらどこかで生存している人もいるかもしれません。



いくつも登場することになる白骨死体から懐中時計で過去へと飛び、この船に何が起こったのか、彼らがたどった数奇な運命を垣間見ることで、託された手記の空白を埋めていくというのがこの主人公の目標になります。

それだけでも途方もない作業に思われますが、この物語は平面上の紙芝居ではなく、ちゃんと奥行きがあるのです。

先のシーンでいうのならば、船長と撃たれた男、それを横で見ている男がいます。

しかし、船長室から少し離れて別の方向を見てみると……?



「あっ! あそこになんか髪の薄い男がいる!」

もうひとり、船長室の外で階段をかけ上げっていく男がいることが分かります。

凶事を目撃して逃げ出そうとしていたのか……とその男の正面に回ってみると、男の口にはナイフが咥えられていました。

「なんでナイフを……逃げてるわけじゃないのか?」



しかし、この男の回想シーンが進むことはないので、これ以上の情報は分かりません。

別のシーンで、この行動の先が判明することになるでしょう。こうして少しの情報も見落とさないようにしながら物語を完成させる――これがまあ、たまらなく面白いのです。

空白を予測して埋めていく作業が楽しいというのもありますが、何より彼らの身に降りかかることになった運命を見るのがとにかく面白い。

情報をもとに手記を埋めていく。

情報をもとに手記を埋めていく。


始めの回想シーンだけなら、船員同士の行き過ぎた喧嘩の果ての行動なのかと思ってしまいますが、そこにいたるまでの経緯が明らかになってくると、それぞれの思惑にもある種の納得がいくようになります。

そして、船員が話していた「貝殻」とは何なのか? この貝殻の謎にたどり着く過程で、おそらくプレイヤーの誰もが驚愕しただろうと思います。

僕には「記憶をなくしてもう一度遊びたいゲーム」という物がいくつかありますが、この『リターン オブ ジ オブラ・ディン』はその最たるものです。

ぜひ、彼らがたどることになった数奇な物語を探ってみてください。オススメです。

▶︎三人称のYouTubeチャンネルはこちら

鉄塔=文 池田裕美=編集

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