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「うちの地元でこんなおもしろいことやり始めたんだ」「最近、地元で頑張っている人がいる」――。そう地元の人が誇らしく思うような、地元に根付きながら地元のために活動を行っている47都道府県のキーパーソンにお話を伺うこの連載。
今回、ご登場いただくのは、「道東」と呼ばれる北海道のエリアを拠点に、累計1万部を売り上げた『.doto』というローカル雑誌を創刊した〈ドット道東〉の中西拓郎さん。メディアでの発信だけではなく人と人をマッチングさせたり、地域の困りごとを解決したりするプロジェクトを手掛けています。
北海道はその広さゆえに、なかなか他の地域との連携が難しかったそうですが、今では道東を拠点にしているクリエイターや住人たちとのつながりを生み、みんなでより豊かに暮らせる環境をつくるために活動をしています。
中西拓郎さん(なかにし・たくろう)
北海道北見市生まれ。一般社団法人〈ドット道東〉代表理事。高校卒業まで北見市で生活し、その後防衛省に入省。千葉県木更津市に引っ越す。2012年に北見市に戻り、デザイン会社に就職。独立後の2015年、『道東をもっと刺激的にするメディア Magazine 1988』創刊。2019年5月に一般社団法人〈ドット道東〉を設立した。ローカルメディア運営や、編集・プロデュース・イベント企画などを手掛けている。
生まれ育った街を出て、気がついたこと
面積の大きい北海道。そのなかでも「道東」と呼ばれる地域は、北海道の東側を指し、オホーツク、十勝、釧路、根室管内の50もの自治体が含まれています。その道東エリアで活動する一般社団法人〈ドット道東〉の代表理事である中西さんは北見市で生まれ育ちました。高校を卒業した後は、防衛省に入省と同時に千葉県木更津市へ引っ越しました。その頃は首都圏に住むことに憧れがあったと語ります。
「千葉県に引っ越してカルチャーショックを受けたことは、テレビで紹介されているお店やイベントなどに行こうと思えば行ける距離だったこと。北見市で生活している頃は、東京のお店が紹介されていても行けないので、まるでフィクションを観ているようでした。首都圏から離れた場所に住んでいても、東京の情報ばかりに接していたので必然的に東京に憧れを持ったのかもしれません。今まで北見市で受け取っていた情報は一体なんだったんだろう、と考えるきっかけになりました」
全国放送で流れる情報は、東京近郊のものが中心。そして北海道の情報を扱うローカル局も、札幌市の情報が主だったようです。
「北見市から札幌市は車で5時間くらいかかります。同じ北海道といってもかなり遠く、気軽に行ける場所ではありません。北見市に住んでいた時は、地元に密着した情報を手にいれるのが難しかったということに地元を離れて初めて気がつきました」
北見市の市街地の景色
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