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30〜40代になると代謝が落ち始め、中性脂肪やコレステロール値も増加傾向にある。実際、20代の頃に比べて体重が増え、健康診断で注意されるようになった人も多いはずだ。
中性脂肪の吸収抑制や悪玉コレステロールの数値を正常に抑えるためには、日々の食事管理や運動が必要になってくるが、実はキノコも効果的なのだと東京農業大学の江口学長は言う。
そこで今回は、中性脂肪やコレステロールに対するキノコの可能性について詳しく伺った。
話を聞いたのはこの人!
江口 文陽学長●父親の胃がん手術後の免疫増強で、キノコの薬を使っていたことをきっかけに研究を始める。大学教員を目指すため、非常勤講師として生計を立てながら、医療分野の大学で研究を行った。東京農業大学教授として研究を推進するとともに、博物館長や学科長を経て、2021年から学長、現在は東京農業大学理事長を兼任している。
キノコが中性脂肪の吸収や悪玉コレステロールを抑制!
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ーーそもそもキノコには、どんな栄養が含まれているんですか? 生鮮キノコは約90%が水分で、残りの約10%にたんぱく質や糖質が含まれています。また、食物繊維やビタミンB1も豊富な食材です。
反対に、脂質がほとんど入っていないので、低カロリーの食材といえます。キノコは色々な種類がありますが、含まれている基本的な栄養成分はほとんど同じなんです。
ーーそうなんですね! キノコに含まれている栄養素にはどんな効果・効能がありますか? 食物繊維は胃の働きを活性化させ、余分に摂取してしまった油を体の外に排出する働きがあります。またミネラルやカルシウムも含まれているため、血圧の調節や筋肉を作るサポートもしています。
ーーつまり、キノコは中性脂肪の吸収を抑える働きがあるということですか? そうですね。特に食物繊維や、エリタデニンが中性脂肪の吸収抑制に有効です。
食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。キノコに含まれている水溶性食物繊維は腸から吸収され、小さくなった状態で血管の中を移動します。そのため、血管の中にあるコレステロールを捕まえて体の外に出すことが可能です。
またエリタデニンはシイタケに多く含まれる成分で、脂質を絡めて排出する役割を担っています。そのため、中性脂肪の増加を抑えるのに有効といえます。
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