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モチベーションが上がらないなら一度やめてみる

photo by rootsojk

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やらなきゃいけないとわかっていても、上がらないのがモチベーション。ただ、アスリートはモチベーションが上がらないからといって練習しないわけにはいかない。末續さんはそんなとき、どうしていたのか。

「僕もずっとモチベーションを高めることを意識して頑張ってきたのですが、その結果思ったのは……逆説的になっちゃうんですけど、モチベーションを上げなきゃやれないなら、いっそうのこと“やらないほうがいい”ということ。

例えば、“足が速くなりたい”とか、“痩せたい”とか、そういうのが本来のモチベーションであって、それは色々なところに転がっているはずなんです」。



できない・やれない理由をモチベーションが上がらないから……と、いつの間にかモチベーションを上げること自体が目的になって、本来やりたいことを見失っているのではないか。

そんなときは「一度スパッとやめてしまえ!」というのが、末續さんの提案だ。

「例えばダイエットだったら、好きなだけ太ればいい。筋トレもやめてしまえばいい。中途半端に『痩せなきゃ』と思うからやる気が出ない。でも、『太って動くのがツラい』とか『洋服が入らない』とか、そうやって追い込まれると自然に『このままじゃヤバいぞ』って気づくんですよ」。

究極の選択ではあるが、一度やめたことで見えてくるものがあるということを末續さん自身も経験した。北京五輪が終わった2008年10月に無期限休養を発表したのだ。



「でも結局1週間と持たずに走り始めました。それで結局、競技に対してモチベーションを高めることができなかっただけで、走ることそのものは好きなんだと実感したんです」。

そして2011年、末續さんは3年ぶりにレースに復帰。今も選手として走り続けている。

「練習に行っても走りたくないときは、そのまま走らずに帰ってくることもありますよ。僕が思うのは、みんなモチベーション信者になりすぎているんじゃないかということです」。

筋トレでもダイエットでもモチベーションが重要と思いがちだが、思うようにいかないときは手放してみるという選択肢もあることを知っておこう。


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