まずは自分のキャパシティを知ることが大事
社会人になればプレッシャーを感じたことが1度や2度ならずあるだろう。末續さんもプレッシャーを感じ始めたのは、実業団選手になってからだという。
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思い出すのは、2008年に行われた北京五輪の4×100mリレーだ。
「実は僕、リレーって嫌いなんですよ。人生を賭けている選手もいるなかで、ほかの人の人生まで背負えませんから」と苦笑するように、リレーは見ているこちらにもその緊張感が伝わってくる種目。
スピードを争うだけでなく、スムーズなバトンパスが要求され、ちょっとしたミスが順位を大きく左右する。
「若い頃は『日本のために頑張る』と思い込んでいたし、そういう発言もしていました。だけど、そういう言動って全部プレッシャーとして自分に返ってきてしまうんですよね。でも人ってそこまで大きなプレッシャーを抱えられるものではないと僕は思うんです」。
歳を重ね、多くの重圧を経験することで、末續さんはプレッシャーへの向き合い方が変わっていったという。
「まず、どれぐらいのプレッシャーなら耐えられるのか、自分のキャパシティを知ることが大事だと思っています。その上で、線引きをきちんとする。それができるようになって、プレッシャーを感じることが少なくなりましたね」。
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