悲しいことに、加齢とともに内臓脂肪がつきやすくなるのが人体のメカニズムだが、50代から開始した“ボディメイク”に見事成功したスーパードクターがいる。
今回は、「筋肉ドクター」の異名を持ち、「ベストボディ・ジャパンコンテスト」2017年東京オープン、2018、2019年のホノルル大会(50歳以上の部)で「ゴールドクラスグランプリ」のグランプリ受賞歴もある吉原 潔先生に、「脱げる体」になる方法を伺った。
話を聞いたのはこの人!
吉原 潔さん●整形外科専門医、フィットネストレーナー、アレックス脊椎クリニック名誉院長。40代まではメタボ体型だったが、医師としても超多忙ななかボディメイクを成功させ、見事な筋肉を誇るドクターとして書籍や雑誌などでも活躍。
食べる量を減らせば体重は落ちるが、筋肉も減っていく
左から順に5月、8月、10月、そして1年後の5月の変化。体重は3〜4キロしか変わっていないそうだが、肩の位置や肘の角度、下腿の向きなど体格まで変化している。
ーー昔の先生はどのような体形だったのですか? ボディメイクを始める前、15年ほど前の私は身長172cmで体重77kg、ウエスト88cmで体脂肪率も21.6%、お腹ぽっこりのいわゆるメタボ体型でした。
医者として患者さんに「体重を落としましょう」と言っても、これでは説得力がないですよね。そこで50歳のときに一念発起したわけです。
しかし、当時は糖質制限やファスティング、ヨーグルトダイエットなどたくさんのダイエット法が流行っていましたが、どれも継続がむずかしい。そして、医学的にも効果が信用できないものばかりでした。
やせるだけならば簡単で、食べる量を減らすのが手っ取り早い。でも、そうすると脂肪だけでなく、筋肉まで減ってしまい、”ガリガリにやせた体”へと向かいます。果たしてそれでいいのか? そうなりたいのか? また、無理して食事量を減らしていくと、必ずそのうち力尽きてやめてしまい、リバウンドするのが人間です。
ーーでは、どんな方法で体を変えたのでしょう? 最初に始めたのは、筋トレです。しかしなかなか痩せず、お腹の脂肪も落ちなかったため、食事の重要性にも気づきました。体脂肪を減らすには、筋トレをして代謝を上げ、消費カロリーを増やすことも大事ですが、実は摂取カロリーを抑えるほうが効率的です。
しかし、ただ食べる量を減らして摂取カロリーを無理に抑えようとしても、絶対に長続きしませんね。そのことは身をもって体験しました。それどころか、栄養が足りないと、かえって筋肉が落ちて太りやすくなってしまう。栄養不足で髪の毛が抜けたこともありました。
そのため筋肉を動かしつつ、食事面でも、「食欲が暴走しない食べ方」をすることが必要だなと。そして、それを“継続”させられるかが重要なのです。
そこで、糖質・脂質・タンパク質理想的な摂り方など、栄養学やトレーニング学を学び直しながら、普段の生活で続けやすい、独自のメソッドを作り上げていったのです。著書でも紹介しているので参考になさってください。
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