カメラを通じて、自分の人生を愉しむ
――市原さんは「カメラマン」としても映画の現場に参加されています。写真に魅せられたきっかけは何だったのでしょうか? 写真が好きになった理由はとても単純で、地元の友人たちに海外で撮った写真を見せたとき、彼らがその世界に驚いて喜んでくれたんです。ある瞬間、ある場所を捉えて、それを誰かと共有できることが写真の魅力だと感じました。
映像は時に答えを提示してしまうことがありますが、写真はそれを見る人の想像力を刺激します。同じ写真を見ても、10人いれば10通りの解釈が生まれるんです。この「写真の力」に惹かれて、どんどん夢中になっていきました。
――写真を撮ることについて、誰かに教わった経験はありますか? 実は、13歳の頃から知り合いのカメラマンがいて、自分が10代の頃から訪れていた彼の事務所は、まさに素晴らしい遊び場でした。その事務所は親子で運営されていて、彼がカメラマンで、息子さんがアートディレクターをされていました。
彼らは毎日のように撮影した写真を見せてくれて、「今日はこんな写真を撮ってきたよ」と話をしてくれました。良いロケーションを見つけると、「ロケーションは財産だから、お前だけに教えるぞ」といったように、いろいろと教えてくれたんです。
そういう環境に囲まれていたので、気付けば写真を好きになるのも自然な流れでした。「光って本当に最高だ!」と感じる瞬間がたくさんありました。
最初は単純にカメラや写真の構造について勉強し始めたんですが、それがきっかけでどんどん好きになっていきました。それからはいろいろなメーカーのカメラボディやレンズを試しながら、仕事現場や地方のロケ先で、常にカメラを入れたリュックを持ち歩いています。
――カメラ操作や写真撮影のプロセス全体に魅力を感じているんですね。 撮影前の「何を撮ろうか?」という考える時間や、撮った後のプリント作業も楽しんでいます。撮影を通じて「写真って本当に素晴らしい」と感じられる。自分を客観的に知る手段としても、カメラは重要な役割を果たしています。
周囲の人から見た自分を理解する手がかりになるなど、主観的にも客観的にも自分の人生を楽しむことができているので、カメラには本当に感謝しています。
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