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いよいよ夏めいてきた。仕事の合間にアイスを食べ、昼に冷たいそうめんを食べ、夜はキンキンに冷えたビールを流し込む……。
そんな毎日を過ごしているみなさんに忠告! もし夏バテにかかりたくないならば、今すぐその習慣を改善するべきかも。
今回は、食養生のプロである漢方家の櫻井大典さんに、夏バテにかかる原因と対処法や食養生の観点から健康体になるおすすめの食べ物を伺った。
話を聞いたのはこの人! 櫻井大典さん●漢方家。アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、定期的に漢方セミナーを開催。SNSで日々発信する養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。著書に『まいにち漢方―体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『漢方的おうち健診-顔をみるだけで不調と養生法がわかる(学研)など多数。
夏バテの原因は「腸内温度の低下」にあり
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ーー前回は食養生についてお聞きしましたが、夏バテしない体も食事によって作れますか? 口にする食べ物を意識的に変えれば、夏バテに強い体を目指せます。
夏バテの原因のひとつは、腸内温度の低下によるエネルギー消費です。普段、腸内温度は消化酵素が働きやすいように37〜38度に保たれています。夏場でも腸内温度は変化しません。
37〜38度に保たれている腸内に、冷たいアイスやそうめんなどが過剰に供給されると、腸内温度が下がってしまいます。そのため、腸内細菌や消化酵素がきちんと働けず、血流も悪くなり、胃腸の働きが低下します。
体は下がった腸内温度を37〜38度に戻そうとするため、余計なエネルギーが消費されてしまうのです。
ーーそのせいで、何もしなくてもバテていくんですね。 さらに、氷を握っていると手を動かしづらくなるように、筋肉と粘膜でできた胃腸も冷たいものが長時間あると動かしづらくなります。つまり、消化吸収能力が低下するということ。だから、皆さん夏バテになるんです。
夏に限った話ではありません。食養生において冷たい物の過剰摂取は、胃腸への負担が大きいため、日頃から避けるべきと考えられています。
もちろん、炎天下の中で作業している方は、意識的に体を冷やす必要があります。エアコンが効いた室内でデスクワークをしている方は、冷たい物の過剰摂取が不要と覚えておきましょう。
ーー夏バテにならないための具体的な対処法をお聞かせください。 エアコンが効いた室内で冷たい物を欲しているのは、目と口だけです。なので、昼に食べる冷たいそうめんをやめ、夜に飲むキンキンに冷えたビールを控えましょう。冷たいビールを夜に飲むなら、温かい食事やツマミ、熱い味噌汁とセットで飲むのがおすすめです。
また、最近はコンビニで常温の飲み物が販売されているので、こちらを活用するのも良いでしょう。冷たい物以外に、甘い食べ物や生もの、脂っこい食べ物も胃腸に負担をかけ、夏バテの原因になります。
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