サンフランシスコでアートに触れたのが、ものづくりの原点
「サンフランシスコの美術大学でイラストレーションやデザインを学び、そこでアートに触れる機会が増えた。サンフランシスコに住んでいた5年間は自分の作品をギャラリーに展示したり、他のアーティストに会ったりするのがとても楽しかったんだ。
ただ、アートの学位を取ったときには、はっきりした目的が見えなくなっていて、ものづくりにはとても興味があるけれど、自分のアイデアをどうやって形にするか、例えば、靴や椅子、バッグや本などを作りたかったけれど完成させていくプロセスは何なんだろうって思い、香港に移ったんだ」。
「POW WOW」のカタログ。
「4年ほど香港にいて、そこでラルフ・ローレンやコーチ、スティーブ・マデンなどのプロデューサーに出会い刺激を受けた。同時に、自分の作品を発表したいと強く思うようになった。でも、香港のギャラリーにアプローチしても断られ続け、それで自分のギャラリーを始めたんだ。
10年ほど放置されていた空きレストランを見つけ、壁にペンキを塗ってギャラリーに。そこでの最初のギャラリーショーが、最初の『POW WOW』。そのショーはとてもうまくいったので、このプロジェクトを続けたいと思い、ハワイに持ち帰ったんだ」。
ハワイで「POW WOW」を仕掛け、街づくりに一役
カカアコのフードコートの壁面に描かれたジャスパーの作品。
ジャスパーが主宰したアートイベント「POW WOW」をきっかけに、カカアコの地域は活気にあふれる街に変貌したといわれている。
10年ほど前は車の修理工場や倉庫が立ち並ぶ街だったが、ウォールアートやギャラリーが増え、レストランやショップも増え、新しい街として高層のコンドミニアムも建設され、おしゃれな雰囲気の街に変わっていった。
「2010年に香港で、2011年にオアフ島・カカアコでスタートし、それから毎年開催する私の目的は、アートを人々に還元すること。誰もがギャラリーや美術館に受け入れられるわけではないけれど、それでもアートはみんなのものであるべきと思うから。
一部の人々は、アートはエリートのためのものだと感じているのが現実。特に、ハワイの小・中学校がカリキュラムから美術や音楽のプログラムを削ったときはそう感じたんだ。私はアートをもっと身近なものにしたかった。 それで壁画を描き続けている。1枚の壁画から始まり、最近では仲間と1週間で100枚の壁画を描くようになったんだ」。
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