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2024.05.27

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「ミレー」ゼネラルマネージャーが語る、創業100年で“家族経営”へと回帰した理由

ミレー・マウンテン・グループ ゼネラルマネージャー ロマン・ミレー

ミレー・マウンテン・グループ ゼネラルマネージャー ロマン・ミレー


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3年前、誕生から100周年を迎えるとともに、創業時同様のファミリービジネスへと回帰した「ミレー」。

新たなブランディング展開を始めるなどのリーダーシップを発揮するゼネラルマネージャーのロマン・ミレーさんに、登山活動やスキーツーリングで過ごすFUN-TIMEを聞いた。

パフォーマンスや精神的に自分を追い込めるところも登山の魅力(笑)

「私は、現在44歳です。ミレー一家の4代目となります。美しい妻がいて、7歳と10歳のふたりの子供に恵まれました」。

ひとつ芯の通った誠実さを感じる人柄で、ときおり冗談を交えて自身の生い立ちや家族について話を始めたのは、バックパックなどの登山用品を手掛ける老舗アウトドアブランド、ミレー・マウンテン・グループ(以下ミレー)のゼネラルマネージャーを務めるロマン・ミレーさんである。

今から100年以上前となる1921年、彼の曾祖父母であるマルクとエルマンス・ミレー夫婦によって誕生したミレーは、人類初の8000m峰となるアンナプルナ峰(標高約8091m)登頂時に使われるなど輝かしい登山史とともにあった。

しかし、70年代になると、ミレーは一族のもとから投資会社の手に渡ってしまう。彼らは、山道具を作る家族経営の小さな会社であったうえ、地元の人たち以外には誰も名前を知らないような田舎町で貧しい生活を強いられていた。

そこへ資本提携の話が舞い込み、よりよい生活のため、成長を願って会社を手渡す決断をした。



それから50年後となる、2020年。大きな転機が訪れる。彼と、彼の叔父のもとに、ミレーが売りに出されているという情報が届いたのである。

「当時のオーナーから電話ももらいました。そして、君たちは経営権を得ることに『興味があるかい?』と聞かれたのです。

その後、21年になってミレー一家が株式の80%を手にすることが決まりました。そのほかは、ふたつの家族がそれぞれ10%ずつを手にすることになりました。

私たちの家族と会社が離ればなれになっていた約50年間、私たちが常に願い続けてきた夢を実現できた瞬間でした。あの決断は、経営的な判断でなく、心の決断だった。とてもクレイジーな選択だった。でも、人生最良の決断であったと考えています。

それから3年が経過しました。曾祖父が始めた頃と同じく、現在のミレーは家族経営になりました。これは、私たち家族が長年、望んでいたことでした」。

彼は、祖父のルネ・ミレーに連れられて、子供の頃は登山やスキーに出かけていたことを思い出す。現在も時間を見つけると、ロッククライミングやスキーツーリングにも出かけている。

そんな話題で盛り上がっていると、「そう。私たちが競合しなくてならないのは、家のなかにあるソファなのです」と語った。

「椅子に座って、テレビを見ている時間。そうしたことと競合しなくてはならない。人々を、もっとアウトドアに呼び戻さなくてはならないと考えているのです」。

子供の頃の夢についてたずねると、「ヒマラヤで登山とスキーをすることだった」と即答した。


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