当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら。 「うちの地元でこんなおもしろいことやり始めたんだ」「最近、地元で頑張っている人がいる」――。そう地元の人が誇らしく思うような、地元に根付きながら地元のために活動を行っている47都道府県のキーパーソンにお話を伺うこの連載。
今回にご登場いただくのは、大阪府西成区出身のラッパー、SHINGO★西成さんです。音楽活動の傍ら、路上生活者への炊き出し、児童養護施設へのクリスマスケーキの寄付、チャリティーライブの主催など、地域へのボランティア活動を25年以上にわたり続けてきました。今や西成の“顔”としても知られるSHINGO★西成さんに、ボランティアを始めるきっかけや街の魅力、大切にしていることなどを伺いました。
西成区は「人間むき出し」の街
古くから日雇い労働者が集まる「あいりん地区」があることでも有名な西成区。かつては頻繁に警察官と労働者の衝突が起きるなど、「怖い」「治安が悪い」というイメージがありました。そんな街の名前を冠したラッパーがいます。西成・釜ヶ崎出身のSHINGO★西成(以下SHINGO)さんです。
ソウルフルで語りかけるようなラップのスタイルで、地元・西成について歌った曲を数多く発表しています。2023年9月にリリースしたシングル『いびつ』では、西成の街でMVの撮影を実施。20年以上支援を続けている児童施設〈こどもの里〉にも訪れています。
「僕の地元を一言で言ったら、人間むき出しの街やね。未来のお金を貯めるためにイライラしながら生きてる人より、今のこの瞬間を心から楽しんでる人がたくさんいますね」
うれしそうに話すSHINGOさんは、現在も西成区在住。生まれ育ったのは、釜ヶ崎にある歓楽街近くの長屋です。
「山王(さんのう)という、歓楽街の飛田新地を含む飲み屋が多いエリアで育ちました。商店街の路地に実家があったんで、揉め事はいろいろ見てきましたよ。お店と間違えて家の前をウロウロする人とか、立ちションする人とかもおる。そういうときは、ちょっと高めの声で、『おっちゃん、そらあかんよ!』とか『自分の家の前でこんなことされたら嫌やろ。ほなやめてや』って。ラッパーなんで、声が通るんでね。それはこの街で暮らす上で、ラッパーで得をしたと思うことかもしれないですね(笑)」
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