内外装の確認をひととおり終えて、いざ出発。「あれ、心なしか前回よりもスムーズだな!?」。
それは2台目の試乗で慣れたからでも、錯覚でもなかった。物理ボタンを極力排すコンセプトだったEX30と違い、アットスリーはシフトレバーの動作やウィンカーを出す感覚が“普通の車”に近しいのである。
“普通の車”らしい落ち着きあるデザイン!
静謐な車内やパワフルな加速感、重心の低さは確かにEVのそれなのだが、極端な近未来感、違和感がない。つまりは「ガソリン車から乗り換えしやすいモデル」(上川さん)ということだ。
新しいものに興味はあっても、イチからドライブフィーリングを変えるのはどうにも抵抗がある。そんな昭和生まれおじさん世代に優しい一台であったことを特筆しておきたい。
環状八号線とその側道をメインに走行。低重心で安定感ばっちり、という印象だ。12.8インチの回転式ディスプレイのレスポンスも良好。容量は2GBで、ナビ利用だけならおそらく問題なし。ここで通信系の音楽まで自由に楽しめたら120点満点。惜しい!
まだまだ書きたいことがてんこ盛りなのだが、限られた誌面には到底収まりきらないので、最後に大事な総括を。そう、お金の話である。
そもそも自分がこの2台に惹かれた理由のひとつに、コストパフォーマンスの要素があった。本気で買う気ですから当然ですよ、当然。
商談用の個室も完備。「今なら最短1カ月で納車可能ですよ。どの色にします?」と、上川さん。「正直、どちらも魅力的過ぎて、この記事を作り終えてから出直させてください〜(泣)」。
EX30は559万円、アットスリーは450万円。どちらも補助金をうまく活用すれば100の桁が繰り下がる絶妙なプライシング。特に後者はEVのラインナップ全体を見ても、群を抜く圧倒的なコスパの良さ。
しかもV2H対応で蓄電池の役割も果たせ、今回訪れたディーラーでは家庭用充電器、太陽光発電設備、V2Hパワーステーションをトータルで提供するパッケージまで存在するとのこと。
これはもう黙って身を委ねるしかない? いやいや北欧の雄のブランド力と未来のガジェットカー的な新感覚も捨てがたいぞ。どっち? 両方!? いやいや、それはムリ……。