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2024.05.14

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養老孟司とヤマップ春山慶彦が教育について対談「自然に身を置くだけで十分学びになる」

養老孟司さん(左)と春山慶彦さん(写真:『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』))

養老孟司さん(左)と春山慶彦さん(写真:『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』))


当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。
都市化が進み、生活空間が人工物で囲まれ、自然と直に接することが極端に少なくなっている昨今、その弊害も多く語られています。

そこで、「知性を育むには、まず自然の中で感覚を磨くことが重要」と主張する解剖学者の養老孟司さんと、登山人口の半数以上が使用すると言われる登山地図アプリを起点に、アウトドアビジネスを急拡大させているベンチャー企業・ヤマップCEO、春山慶彦さんが対談。
ChatGPTに代表される生成AIの時代に、今こどもたちにとって本当に必要なことは何かお話しいただきました(本記事は『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』から一部抜粋・再構成したものです)。

自然の中に身を置くだけで、こどもたちは十分学んでいる

春山 現代の日本の教育において、自然体験はそれほど重要視されていない、どちらかというと脇に置かれてしまっているような気がしています。

特に最近では、英語やプログラミングなど、早い段階から知識を詰め込む傾向がより強くなっているのではないでしょうか。

養老 明治時代に日本が学校教育をはじめたときは、野育ちのこどもたちを集めて、「おとなしく、じっと座っていなさい」という教育でした。

ところが今の子は、テレビやパソコンのモニターを見て、おとなしくじっと座っている方が多いわけでしょう。そうすると、学校で先生の話を聞いているだけで受け身になりがちです。

そういう明治以来のおとなしく座らせる教育で、どこまで学習というものが成り立つのか、疑問です。

結局、こどもを集めて静かにさせておくのが楽だからということだと思いますが、元来、こどもはじっと静かにしていられない。だから、それを無理やりやらせているという意味では、ほとんど「虐待」ではないかと思います。

極端なことを言うようですが、学校はいわゆる「遊ぶ」ところにしてしまって、学業は家でやるということにしてしまった方がいいくらいではないですか。

春山 そうですね。そろそろ、学校や教育の役割を時代に合わせて変えていく時期に来ているのではないかと思います。

たとえば、学校をもっと自然の中に開いていく。

こどもたちを学校という人工的な箱の中にずっと閉じ込めておくのではなく、教室を出て、自然の中に連れて行くようになればいいですね。

養老 学ぶというと、意識的に何かを取り入れるというふうに思ってしまいますが、そうではなくて、自然の中で身体を動かすことで無意識に教育を受けているわけです。

以前、岡山県の新見というところにある小学校に行って、こどもたちと遊んできたことがあります。一応口実がないといけないので、虫捕りを教えるみたいなふりをしてね。

雨が降ってしまったので、結局、虫は捕りませんでしたが、実際は単に遊びに行くだけなんです。こどもたちは、ほっとけば遊んでますから。


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