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2024.05.08

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専門家による子育てのヒント「言葉で表現できなくても子供はたくさんの意見を持っている」



当記事は「ボーネルンド公式ウェブサイト」の提供記事です。元記事はこちら。

各分野の専門家の方々に子を持つ親として大切にしたいこと、知っておきたいことをお聞きします。

今回はこども家庭庁にも携わる文部科学省の渡部さんのお話です。

渡部剛士さん●文部科学省初等中等教育局幼児教育課 課長補佐。1980年兵庫県生まれ。大阪教育大学卒業後、国立大学、公立中学等の勤務を経て2007年に文部科学省に入省。生徒指導、高校無償化、幼児教育などを担当。東日本大震災の復興、埼玉県戸田市教育委員会などの業務に出向。2児の父。

幼児教育の本質は、小学校教育の「準備」ではなく「土台づくり」です。

今、子どもをめぐる環境が大きく変わりはじめています。2022年6月に「こども基本法」が公布され、2023年4月1日に施行されました。そして同じ日にこども政策の司令塔として発足したのが「こども家庭庁」です。「こども家庭庁」の最も大切なコンセプトは「こどもまんなか社会」の実現です。

そのために、「学び」を担う文部科学省と「育ち」を担うこども家庭庁が連携し、子どもの視点に立って、政策を進めていくこととしています。今回は、「こどもまんなか社会」について、幼児教育の視点からお話ししたいと思います。

幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものですから、すべての子どもたちが質の高い幼児教育を受けられることが大切です。「質の高い幼児教育」というと、読み書き計算などを教えこむ「早期教育」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、そこは注意が必要です。

幼児教育の本質は、小学校教育の「準備」ではなく「土台づくり」です。幼児期は、自分で興味や関心を持って、頭も心も体も動かし、友だちなどと関わりながら遊び込むことが大切です。子どもたちは楽しいことや好きなことに集中して遊びながら、さまざまな見通しを立て、工夫したり、試行錯誤したり、新たな発見をしたりします。それらは全て、学びにつながる体験なのです。

幼稚園や認定こども園、保育所では、子どもが今何に興味を持ち、遊び込んでいるのかを観察しながら、学びが広がり、深まっていくように援助をしています。幼児教育の質を高めるために、家庭生活の中でもできることがたくさんあります。

子どもと一緒に遊ぶときには、子どものペースややり方であそびを楽しむ様子を受け止め、親も一緒に楽しんでください。子どもは、さらにあそびに夢中になり、いろいろなものに目を向けて関心が広がっていくことでしょう。親が持っている理想的な姿と比較するのではなく、子どもが今関心を持っていることに心を寄せてください。輝いている子どもの目を見れば、いくらでも待てるはずです。

子どもたちにとっては、家族が日常的にしていることもとても魅力的です。我が家でもつい先日、こんなことがありました。
いつもは小学校1年生の兄が家族のお箸を並べてくれるのですが、その日は兄が遊ぶことに夢中になっていました。すると、3歳の弟が「ぼくがやる」と言ってお箸を並べてくれたのです。お箸を持ってくるだけでなく、何も教えなくても、家族それぞれのお箸を、いつもと同じ場所に置いてくれたのです。きっといつも上の子がしていたことをじっと見ていたのでしょう。

褒められることで自己有用感も高まり、それがまた次の行動へも繋がります。主体的な学びの機会は、日常のお手伝いの中にもあるのだなと驚きました。外遊びなど、子どもが多様に遊べる環境を家庭で用意することは、難しいところもあるかもしれません。幼稚園などの施設や園庭の開放、地域の子育てひろばや児童館などの公共サービスも存分に利用していただければと思います。


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