OCEANS

SHARE

発達や成長につながるあそびは衣食住と同様に大事なもの

「あそび」が子どもにとって本当に大事なものだと私が痛感したのは、東日本大震災後、復興支援の業務に就いていたときのことです。ボーネルンドとの出会いも、そのとき一緒にあそび場づくりに取り組んだことがきっかけでした。

実は私自身も、中学生のころに阪神・淡路大震災で被災し、長い間公園で遊べなかった経験がありました。東日本大震災でもまさに同じような状況でした。

津波にさらわれた土地はがれきだらけで遊ぶこともできず、仮設住宅では大きな声を出すことも、走り回ることもできません。子どもたちは大人の状況もよく見ています。大人が一生懸命我慢している時、「遊びたい」という声を上げることはできませんでした。

子どもの声なき声に耳を傾け、ようやくあそび場ができたとき、子どもたちが思い切り声を上げて、とびきりの笑顔で走り回っているのを見て、「やっぱり我慢していたんだな」ということがよくわかりました。

子どもたちにとっての「あそび」は、大人にとっての「娯楽」ではありません。発達や成長にも直結し、「衣食住」と同じくらい大事なものなのだと思い知らされました。そして、自分が何のために仕事をしているのかを思い出させてくれました。


3/3

次の記事を読み込んでいます。