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モデルケースはスイス時計産業のあり方



このとき、平岡さんの頭の中には、スイスの時計産業をモデルにしたいという考えがあったという。

「スイスには約700の時計メーカーがあり、その多くは人口20万人足らずの都市・ジュネーブに集中しています。ここは時計のパーツを製造する会社も多いのですが、日本とは違いメーカーごとの規格をあえて設けていないのが特徴なんです。

時計業界に携わる人たちが横の繋がりをもつことで、世界的な産業へと発展を遂げている。そういった同業者がお互いに助け合う考え方は、東北でも真似できるのではないかと思いました」。

平岡さんが手掛けた時計たち。右下にある青と黄色のウクライナカラーを採用したモデルは、戦争で大きな被害を受けている同国へ、復興支援として協力していきたいという想いを込めて発売された。

平岡さんが手掛けた時計たち。右下にある青と黄色のウクライナカラーを採用したモデルは、戦争で大きな被害を受けている同国へ、復興支援として協力していきたいという想いを込めて発売された。


精密な技術と伝統的な技法で作られるスイス時計は、世界最高峰の時計として知られている。福島県でも技術者を育成し、工場を建設できれば、スイスのような“時計の街”が作れるはず——。

2018年、平岡さんはまず自身の時計ブランドをスタート。ものづくりの過程と、それを手にする人と歩んでいく時間を繋ぐものとして、「未来」と「過去」というふたつの日本語から取り、「ミルコ」と命名した。

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