街中で着るシャツよりも、ぐっとくだけて気取らない着こなしになるのが、バカンスでのシャツだ。『君の名前で僕を呼んで』の中で
アーミー・ハマーが着ていたボタンダウンのシャツは、夏休みのアメリカンカジュアルの王道だ。
サイズは大きめ。ストライプのボタンダウンのシャツは洗いざらしで、チノのハーフパンツとコーディネイト。足元はもちろんスニーカーだ。太陽が眩しかったらサングラスを掛ければ完璧。
なんの飾り気もないのに、これほど様になるアーミー・ハマーが、作中、ティモシー・シャラメに慕われるのは誰もが納得なのだった。
アーミー・ハマーと同じイタリアのバカンスでも、
ジュード・ロウのスタイルはヨーロッパの薫りが漂うようなエレガンスがある。
『リプリー』での彼は、リネンのシンプルな白シャツや、透け感のある黒シャツを焼けた素肌に着て、ラフでありながら大人の色気を出し、最強のシャツの着こなしだ。ボトムは無造作にロールアップしたコットンかリネンの白パンツ。シューズは白の上等なモカシン。
このジュード・ロウのシャツ姿こそ、目指すべき男のスタイルといえそうだ。
石川三千花●イラストレーター、エッセイスト。『石川三千花の勝手にシネマ』(文藝春秋刊)、『石川三千花の勝手にオスカー』(集英社刊)をはじめ、映画のワンシーンと登場人物のファッションを独自の視点で切り取った著書や、セレブリティをコミカルに、センスよく切り取るエッセイにファン多数。michikaishikawa
OCEANS6月号「スタイルある男たち」から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!