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そうすると、「そうか、妻は毎日こんなこともやっているんだ」と、これまで自分ではまったく気づかなかったことがいくつも出てくるはずです。同じように妻側から見ても、夫がやってくれていることに対して新たな発見が得られる可能性があります。

そうやってお互いに対する不満や怒りの種をある程度小さくしたうえで、家族会議を開くのもひとつのやり方です。

その場合、まずは美味しいものを食べてゆっくりお茶を飲んで、お互いにほっこりしてから「ちょっと10分くらい話をしましょうか」という感じで、自然にもっていっていただけると最高です。



そして、相手に「今日はあなたの思っていることを全部言ってほしい」と伝えたうえで、お互いが書き出したものを見せ合います。その際、妻との間で大きな認識の違いがあると判明しても、それを笑えるくらいの余裕をもって臨むことが大切です。

そのためには、妻との意識のギャップを受け止めるだけの度量が、今の自分にあるのだろうかということを、事前に自分自身に問うてみることも必要です。

家族の問題はそのくらいセンシティブであり、それをよい方向へ修正していくための家族間のコミュニケーションは時として難しいものです。

特に、家庭の中に「自分はこれだけやっているのに……」という損得勘定を持ち込んでしまうと、心がすさんでいくことにつながってしまいます。そうなると、お互いに主観のぶつけ合いになってしまい、とてもしんどいんです。

夫婦として何年も一緒に暮らしていると、お互いに素直になって感謝の言葉を伝えたり、自然な気持ちで相手を思いやったりするのはかえって難しいかもしれません。これらはとてもエネルギーを必要とし、自主的に努力しなければできないことです。

もし関係を修復したいと思われているなら、それは素晴らしいことです。お互いの妥協点を探してみてはいかがでしょうか。

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アントレース・達 弥生=取材・文

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