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2024.04.26

ライフ

原宿と千駄ヶ谷の間にある古民家のうどん店「うさぎおうどん」に漂う下町情緒

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。


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原宿と千駄ヶ谷の間。神宮前二丁目にある通称“神二ストリート”に建つ、怪しげな古民家。その昼の顔は、関西風うどん店「うさぎおうどん」である。店主の岸本秀樹さんが出迎えてくれた。

渡辺 こんにちは。週2で来ていますが、ここの食事は毎日でも食べられる。優しい出汁とユルめのうどんが味わい深く、納豆ご飯も最高です。

岸本 いつもありがとうございます。でも最近、納豆は通常メニューから外してしまいました。一応、用意はしているので出せるときもあります。

渡辺 それは残念。でも、そのフレキシブルな感じも好きです。クラブ「ボノボ」の間借りという営業形態もユニークです。

岸本 開けているのは平日の昼間だけですから、来てくれる方はどうしても限られます。常連さんは皆、友人や知人がほとんど。そんな“ご近所付き合い”のように、変わらずほっとするような場所でありたいです。

渡辺 15分くらいの短い食事の時間で、リンゴやお土産のモナカをいただいたり、距離の取り方が絶妙で、会話もスッと入ってくる。そのローカルな下町情緒、温かみを感じます。こういう昔ながらの空気感、いつまでも残り続けてほしいです。



岸本 そういう意味で、この店が位置するT字路はすごく個性的かもしれません。隣のクリーニング屋は店の佇まいも大将もすごく雰囲気があるし、向かいにあるカレー店は先輩がやっていて、面白くて優しい人。その隣に並ぶコンビニのお母さんの存在も大きかったと思います。

渡辺 僕の事務所も近かったので、すごくわかります。でも、この店の存在感は頭ひとつ抜けてますよ。外見に負けず、内装も強烈。秘密基地というか、神秘的なアトリエのよう。

岸本 「ボノボ」のオープン前からずっとこの雰囲気で、実は世界的なブランドのパタンナーが所有していたそうなんです。その辺、あまり大きな声では言えないのですが(笑)。

渡辺 なるほど、興味深い(笑)。ところでこの店は、店主が1年ごとに変わるんですよね。

岸本 そうです。僕とパートナーで交互に店を切り盛りしています。

渡辺 DJで言うところのバック・トゥ・バック。おふたりのキャラクターがそれぞれうどんの味に出ていて、店の深みを増していますね。

岸本 正直、僕らは完璧を求めていません。いろいろなエピソードがひとり歩きするこの変態的な場所で、意外と美味しいうどんが食べられる。不完全でいいから、続けられるところまで続けたいですね。

——カオスの先にある、心温まる食事、空間、人情味。これも東京。
うさぎおうどん
住所:東京都渋谷区神宮前2-23-4
営業:12:00〜15:00 ※異なる場合あり
定休:土・日曜、祝日
usagioudon


若木信吾=写真 増山直樹=文

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