名店① 超人気つけ麺店の兄弟店「中華蕎麦 しげ田」

そんな六甲エリアの実力店・人気店の中でも、一歩抜きん出た人気を誇り、西日本エリアの「食べログ ラーメン 百名店」選出店の常連として名を馳せるラーメン店がある。それが「つけ麺 繁田」だが、今回紹介するのは、セカンドブランドである「中華蕎麦 しげ田」。

「つけ麺 繁田」店主の実弟が、2023年3月、阪急王子公園駅近傍に開業した話題店だ。



「中華蕎麦 しげ田」は、「醤油そば」「塩そば」「和牛モツつけ蕎麦」「豚バラとろ肉つけ蕎麦」の4種のラーメンを、レギュラーメニューとして提供。魚介素材と動物系を駆使した濃厚つけ麺をフラッグシップメニューに掲げる、1号店とまったくタイプが異なる1杯で勝負する。

宮崎和牛のジューシーなモツが堪能できる「和牛モツつけ蕎麦」も高い人気を誇るが、看板商品は、券売機・お品書きの筆頭メニューである「醤油そば」。これは、「1号店ではつけ麺、2号店では汁そばを推していく」という店側の経営方針に即したものとなっており、初訪問時に食べるべきは、やはり、醤油そばだろう。



同品のスープは、丹波産親鶏の胴ガラや豚を約8時間かけて丁寧に炊き上げた動物系出汁と、鰹節・煮干のうま味の粋を余すところなく切り出した魚介出汁とを、絶妙なバランスで折り重ね、上質な甘みが印象深い醤油ダレをクロスオーバーさせたもの。

創業145年の歴史を誇る老舗醸造蔵「末廣醤油」の醤油を数種類ブレンドした醤油ダレも、深いコクとまろやかな風味が食べ手の琴線に触れる、会心の味わい。各種素材が手を取り合いながら、舌上で優美なうま味の稜線を描き出す。嚥下したあとに残る余韻も、名残惜しさを覚えるほどハイレベルだ。



国産小麦を用いた自家製細平打ち麺の完成度の高さも、驚嘆に値する。すすり上げると麦香が宙を舞い、鼻腔をやさしく刺激。すすり心地が並外れて滑らかで、唇から伝わる触感もこの上なく官能的。まさに、「このスープにしてこの麺あり」と言うべき逸品だ。

神戸淡麗ラーメンシーンの新たな1ページを切り拓く、エポックメーカー。万難を排してでも足を運んでいただきたい優良店だ。