連載「イタリア人マッシのブオーノ・ニッポン!」とは…… 「イタリアに帰らなくても毎日美味しいものを食べて暮らしている」という日本在住歴17年のマッシさん。
彼の第二の故郷でもある、金沢の
海鮮グルメを紹介した前回から一転、今回はイタリアの国民食ともいえる“パスタのトリビア”を語ってもらった。
▶︎すべての写真を見る 案内人はこの方! マッシミリアーノ・スガイ●1983年生まれ、日本食が大好きなイタリア人フードライター。 KADOKAWAよりフードエッセイ『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』を出版。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で発信中。
トリビア① パスタはイタリア発祥ではない!?
イタリアはパスタ発祥の国とされているけど、起源を辿ると(諸説あるが)パスタはもともと、イタリアのものではない。
1100年代の終わりには既にイタリアにパスタが存在していたという証言があるけれど、実はシチリア島を支配したアラブ人が持ち込んだおかげで伝わったのだ。そこからイタリア全土に広がり、独自の進化を遂げていき、現在にいたっている。
日本に住んで長い僕は、パスタ大国出身だけど日本のパスタ料理を見て驚きの連続だった。イタリアにもないような食べ方を見て、やっぱり日本は食のアレンジ力が半端じゃない! と感心したものだ。
トリビア② 実はパスタって600種類以上ある!
そもそも僕は、イタリアのパスタを全種類食べたことがない。すべてを見たこともない。全種類を探して食べることより、天の川にある星を数えるのが早い気がする。というのも、現在確認されているパスタはなんと、600種類以上もあるというからだ。
なぜこれだけ多いのかというと、よく知られているパスタ以外にも新しいパスタ、もともとあるものから進化したパスタ、各料理に合わせたパスタ、その地域にしかないパスタなどたくさんあるから。イタリア人でも「このパスタは何用だっけ?」とわからなくなることもある。
この理由を見てまずはわかるのは、パスタはこだわりと地域のアイデンティティが強いということだ。各地域特有の食材を使用したソースや食べ方まで、これまでの常識が覆されることもある。
パスタの種類をわかりやすくカテゴリーに分けると、以下に分類できる。
【パスタの種類】・ロングパスタ
・ショートパスタ
・詰めものパスタ
・生パスタ
・乾燥パスタ
・スープにしか使わないパスタ
・オーブン焼き用のパスタ
さらに細く種類を分けてみると、パスタの種類は一気に増える。それはイタリア人も知らないパスタの世界と言っても過言ではない。パスタといっても原材料は小麦粉以外にもさまざまな粉が使われているものもある。
【原材料の種類】スペルト小麦、トウモロコシ粉、米粉、キヌア粉、蕎麦粉、豆粉(ひよこ豆、エンドウ豆、レンズ豆)、大豆粉、麻の実、さまざまな種類(トウモロコシ、キヌア、米など)を混合した粉。
パスタの生地も一般的なデュラム小麦のセモリナ(粗挽き)、全粒粉入り、卵入りやなしの生パスタ、糖質オフのパスタ、生地にほうれん草やトマトが入ったものなど、種類もさまざま。
さらに麺の表面も、滑らか、粗い、ギザギザしているものもあり、写真のように、職人さんが想像できる形のほとんどがパスタになり得る。
これらを見ると、パスタのコンビネーションは無限だと言っても過言ではない。さらにソースの種類の多さを加えると、毎日違うパスタを食べたとしても、一生で全種類を食べ切ることはできないだろう。
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