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世界基準の高級車へ

メーカーはSUVとは呼んでいない。けれどもSUVだ。どう転んだってそう見えるのだから。評価のポイントはそこではなく、伝統と格式ある日本の最高級車に相応しいかどうか。

とはいえそれは客が決めること。車の価値はブランド、生産台数、デザイン、価格、性能で決まるが、それが買う側にとって、歴史的にも今という時代的にも、心地良く収まっていると思えるかどうか、が評価の分かれ目になる。

ブランド=センチュリーは申し分なし。貴重(月産30台)だ。流行りのSUVに“らしさ”を詰め込み、国産最高クラスの価格に見合った内外装の仕立て・仕上げが施された。ショーファーカーとしての豪勢さも申し分ない。乗り味は知らないが。

正直、新しさはない。けれどもフラッグシップはそれでいい。ぶっ飛びすぎてもらっては困る。センチュリーとしてはぶっ飛んだが、世界を見渡せば「なかなかいいじゃん」に収まる。マニアは名前の安売りだと怒るが、セダンは残るし、かえって再評価されよう。

というわけで新型センチュリーは大いにアリ。旧型のV12セダンに世界が興味を持ち始めた今、日本の高級車から世界の高級車へと飛躍するチャンスとなった。
モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。所有する愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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