自分らしい働き方と生き方を叶えていく
2014年に清澄白河に〈gift_lab GARAGE〉をオープンしたことによって東京のローカルと出会い、本当の意味での「ダブルローカル」を完成させた二人。清澄白河と十日町市を行ったり来たりする面白くも忙しい日々が続く中、2020年にコロナ禍が訪れると、二つの拠点にそれぞれカフェを開くことに疑問を持ち始めます。
「がむしゃらに走ってきましたが、正直、体力的な限界を感じていたんです。元々の本業であったデザインの仕事との並走でしたから。そんな時にコロナ禍がやってきたんです。飲食店の休業が余儀なくされる中、ちょうど賃貸契約更新のタイミングが訪れました。
それで、カフェが本業のようになってしまった〈gift_lab GARAGE〉を思いきって閉じて、同エリア内で見つけた恵比寿時代と同じくらいの広さの物件に、原点であるデザイン事務所とギャラリーショップのかたちに立ち返って移転することにしました」(池田さん)
新たな〈gift_lab〉は、比較的閑静なエリアの公園の向かいのビルに
〈gift_lab〉のカフェをポジティブに閉業したことで、自分に正直な働き方と生き方をより具現化できるようになったと、池田さんは続けます。
「無理しなくていいんだと気づいたんです。それは〈山ノ家〉も同じ。人の往来が少ない時期でも責任感と意地で、できるだけ毎日開けていましたから。
こちらの事情で店を休んだりすると失望されてしまうと思い込んでいたんですが、そんなことはなくて。コロナでしばらく臨時休業を余儀なくされて、落ち着いた頃に2年ぶりにカフェを再開してからは無理せずに、夏以外は週末だけの限定営業にしていました。
だから少し心苦しかったのですが、地元の方が『おかえり。また戻ってきてくれてありがとう』って声をかけてくださったんです。『できる形でいいんだよ』と。『ダブルローカル』を続けていくためには、自分のペースを守ることも大切なんだなって」
コロナ禍に大きな過渡期を迎えた「ダブルローカル」。地域やそこで暮らす人たちとつながりながら、20年近く猪突猛進に突き進んできた今、二人はより自分らしい生き方を叶えていきます。そして、少し先の未来を見つめてこう話します。
「複数の場所で複数のなりわいを持つと、複眼化できるようになる気がします。自分の身体は1個なのに複数の人生を体験できるから、自分がいる場所を別の角度から見つめ直せるようになると思うんです。もちろん、1本の道をひたすら走るのも素敵だと思いますが、最近は副業OKの企業も増えていますし、複眼化することで働く価値観がより良い方向にシフトしていったらいいなと思います」(池田さん)
「テクノロジーの発達によって、移動も容易になったし、離れた場所同士でもネット上でつながれるようになりました。だからこの先は、ローカル同士のつながりがより加速していくのではないかと。そうなると、エネルギーや経済もシェアでき、助け合うことができると思うんです。ローカル同士が手を取り合うことで、僕たちが暮らす地球の環境自体を良くしていけるかもしれません」(後藤さん)