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言葉②「取り組み方」と「考え方」が1日の流れを決める。それが1年、2年後につながっていく



 Q:MLBでは、2012年から6年間、計7チームでプレーされました。アメリカで学んだこと、日本時代と具体的に何が変わったのですか?

色んな事が変わったけど、一番は本当の意味で人の気持ちがわかるようになったことだと思いますね。家族との向き合い方とかもそうですし、挑戦するためには周りでサポートしてくれる人が本当に必要で、自分だけでは生きていけないということを再認識しました。

心が砕けそうなときにも周りにいるのはその人たちだけなので、そんな中で毎日生活をしていたら自然と「感謝」が芽生えますし、人間やっぱり苦しい思いをした時に本当に分かるんだなと感じましたね。日本にいた時はまだまだ甘かったですし、本当の厳しさっていうのはアメリカで感じたんじゃないかなと思いますね。

Q:MLBでは、いろいろな国籍の選手が日本以上に激しいポジション争いを繰り広げています。プレーの面でも影響はありましたか?

そうですね。 フライ1個でも、向こうは取って「グッジョブ」って言うんですよ。僕からすると初めは当たり前のフライなのに、不思議なことにそれを毎回毎回言っていると慣れてくるんですよね。慣れてきて、何となくそこで言ったグッジョブがポジティブな感じになるんですよ。

よく「ポジティブに、ポジティブに」って言うんですけど、ポジティブのやり方が以前の自分はよく分からなかったんです。だから、こういう風に毎回ポジティブな言葉をかけることの重要性をすごく感じましたし、それによって自信を持てるようになりました。



 Q:2018年にヤクルトに復帰して以降、野球への姿勢はどのように変わったのですか?

前回日本にいたときの色々な疑問、迷いが取れた感覚でしたし、僕もチームを引っ張らなければならない立場だったので、当然言葉でも言ってきましたし、後輩に対する指導の部分でもそうですよね。とにかく「グッジョブ」を言いまくりましたよ(笑)。

例えば、チャンスで三振した選手がいても、守備でその後に取り返したようなプレーがあれば「あれがなかったら負けてたよ」という一言をかける。声かけで人は変わるというアメリカで感じた部分ですし、そういう後ろ姿を見せる必要はすごく感じていましたね。



Q:プレーで引っ張る、背中で引っ張るだけでなく、チームをまとめたり、リーダーとしての役割も自ら買って出たと?

そうですね。一つは、喜怒哀楽を出すようにしましたね。日本は、怒りをあらわにすることって悪のようにとらわれますが、エンターテイメントの部分もあるわけですよね。淡々と野球やって何にも笑わず怒らずでいいのかなって。

当然チームの中では、優しい先輩でいたいし、助言をくれる先輩でいたいっていうのもありましたけど、その一方で「そうやって何で感情を出さないんだ」って、「ファンはむしろそれを求めてるよ」っていうことも言っていました。



Q:メジャーの選手と日本の選手の違いについて、感じる部分はありますか?

アメリカから帰ってきたときにすごく感じたのは、「日本人ってやっぱりおとなしいな」っていうところですね。帰国する前年、ヤクルトが(シーズンで)96敗していたのもあって、負け癖みたいなのがついて、大量失点してもそこで諦めるような選手も多くいたんです。

メジャーの選手と日本人との差は、1打席に対しての必死さですね。向こうは「チームが負けようが、俺は負けない」っていう人間ばかりでしたし、当然それは自分が生きていくためでもあるわけです。僕は、それがプロだと思っていますし、若い選手にも「この世界で生き残っていくために頑張れ」とすごく言っています。

そのために、今こうやって身体を変えていくんだ、こういう考え方にするんだよと。よく僕は「取り組み方」と「考え方」という言葉を使うんですけど、それが決まれば1日の流れも決まるんです。そしたら、1年後、2年後には多分良い方向に行っている。取り組み方と考え方をポジティブな考えにするために言い続けることですね。


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