ミルクレープもまさかの日本発祥!
ある日のこと。ドトールで出合った「ミルクレープ」に心奪われた。商品名にクレープがついているので、これは間違いなくフランス発祥だ。フランス語で「mille(ミル)」は「1000」、「crêpes(クレープ)」は「クレープ」ということで、ミルクレープは「千枚のクレープ」という意味になる。
イタリアにはありそうでないけど、フランス発祥だからイタリアにないのは当然だと、このときまでは思っていた。美味しく食べながら、ミルクレープとはどういう経緯で生まれたのか気になり、調べ始めた途端、突然雷が落ちたような発見があった。
なんと……ミルクレープも日本発祥だったのだ。元祖は西麻布のカフェ「ルエル・ドゥ・ドゥリエール」であると言われている。
ミルクレープは高度な調理技術が必要なため、細かな作業が得意な日本人特有の発想であると僕は勝手に思っている。その見た目の美しさや、クレープとクリームの層が豊富で、数えるのも楽しいほどだ。食べるたびに、フランス風の味わいを超える日本生まれのスイーツと感じ、ますます日本に恋に落ちていくのだ。
また、パン文化が盛んではない日本でも、ヨーロッパに引けを取らない高品質で外国人も喜ぶ美味しいパンがある。日本のパンに魅了された僕が、特に驚いたものがある。薄い生地に野球ボールのような形で、なんと焼かずに揚げる「カレーパン」だ。揚げたては手で持てないほど熱くて、中の具材もぎっしりと入っているのでひと口目から美味しく味わえる。
インドに行ったことがない僕は、カレーパンはインド人が考えたインドの名物だと思っていた。ところが実はこれも日本生まれだったのだ。
起源は諸説あるが、日本カレーパン協会によると、東京都江東区にある「名花堂」(現:カトレア)2代目の中田豊治さんが1927年に実用新案登録した「洋食パン」が元祖と言われることが多い。この洋食パンは、具の入ったパンをカツレツのように揚げるというコンセプトから、「カレー」という言葉は入っていない。
一方では、練馬区にある「デンマークブロート」(1934年創業)の創業者がカレーパンを発明したという説もある。最初はカレーサンドを発売し、その後、揚げることを思い付いたようだ。
このような作り方とアレンジを発明してから現在にいたるまで、多くの人がカレーパンを愛食していることを見てほっこりする。インド人も喜びそうなアレンジだ。
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