連載「イタリア人マッシのブオーノ・ニッポン!」とは…… 90年代にはティラミス、2021年にはマリトッツォと、定期的に日本でブームを巻き起こすイタリアンスイーツ。マッシさん曰く、最近認知度を高めているのが「カンノーリ」なるスイーツである。
実は映画『ゴットファーザー』に登場したこともあるほどイタリアでは超定番だが、カンノーリが日本で定着しないのは、ある難点を持つからだとか……。
▶︎すべての写真を見る 案内人はこの方! マッシミリアーノ・スガイ●1983年生まれ、日本食が大好きなイタリア人フードライター。 KADOKAWAよりフードエッセイ『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』を出版。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で発信中。
『ゴッドファーザー』名シーンで登場、マフィアも愛するカンノーリ
南イタリア・シチリア島には名物がたくさんあるが、全土に広がり今なおイタリア人に愛食されているスイーツ。それは間違いなく「カンノーリ」だろう。
イタリアのスイーツといえばティラミスとパンナコッタが頭にすぐ浮かぶと思うけど、実はイタリア人のスイーツ人気ランキングTOP10には、カンノーリも入っている。
シチリア島の魅力はグルメだけではなく、観光やおもてなし、ギリシャとアラビア文化もある。ここでよく耳に入るのはマフィアだ。
マフィアとカンノーリと言えば、日本でもよく知られている『ゴッドファーザー』というシチリアを舞台にした映画。この映画に出てくる「銃は置いていけ。 カンノーリを持ってきてくれ」というセリフが有名で、見た人はおそらく一生忘れられないだろう。
イタリア現地のカンノーリは小さなサイズから500グラムを超えるものまである。イタリア人にとって欠かせないスイーツのひとつで、ある意味、特別感もある。
なぜかというと、ティラミスやパンナコッタ、プリンなどは家庭でも作れるけど、カンノーリはそうではないから。カンノーリは手間がかかる上に、作る技術が必要なのだ。
イタリア現地で売られているカンノーリ。
カンノーリの作り方は簡単そうに見えて、実はそうではない。サクッとした食感を出すためには、作った生地を円筒形の芯に巻きつける。そしてそれをなんとそのまま揚げる。生地の厚みと揚げる温度によって、最高のものになるか失敗するか、明暗が分かれるのだ。
生地作りの大事な作業のあとに、詰めものであるリコッタチーズも作らないといけない。
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