直線的な学びではなく、立ち止まることをも肯定するような学びの場
編集部 現在、そして未来に向けて、どのような学びを展開してきたいですか?
熊井さん うーん。寄り道も回り道も、立ち止まることをも肯定するような学びの場にしていきたいですね。一つのゴールに向かって直線的に走り抜けなければならないとなると、早いか遅いかみたいな話になってくるじゃないですか。さらには、引かれたコースから外れると、エラーになってしまう。そうじゃなくて、そのコースすら自分でつくっていけるための場所という感じでしょうか。
杉田さん 僕自身、一般的な学校に通ってきたので、まっすぐ走り抜ける姿勢を求められていた実感がありますし、そこには違和感もありました。双子なので、こっちの方が足速いねとか、ちょっと成績が悪いねみたいな、わかりやすい基準で評価される状況にお互い「嫌だな」と思っていました。
でも、GAKUはこの人が優れていて、この人が劣っているという評価を下される場所ではなく、クリエイターが10代の一人ひとりと向き合って、「あなたは何が作りたい?」という問いかけから始まるコミュニケーションが成立している場所。人と人との関係性、表現者同士の関係性を育む場という意味で、当時僕が通っていた学校とは全く 違いますし、今の10代にとっても必要な場所になっているんじゃないかなと思います。そしてそういう場がもっと必要だなとも感じています。
[Profile]熊井晃史さん●GAKU事務局長の他、学芸大こども未来研究所・教育支援フェローや小金井のギャラリー「とをが」を主宰する。NPO法人〈CANVAS〉プロデューサーなどを経て、2017年に独立し現在に至る。
[Profile]杉田聖司さん●1999年生まれ。事務局スタッフとして、演劇、ヘアメイク、プロダクトデザインなどのクラスの企画・運営を担当する。ポッドキャスト『ガクジン』の編集担当。外部では、ファッションマガジン『apartment』を発行するなど、ファッションを中心としたエディター、フォトグラファーとして活動中。