契約的な学びと一線を画す、わからなさに踏み込む学びのかたち
編集部 10代で自分の「切実さ」をぶつけあえる場は、かなり限られていますよね。GAKUのようなコミュニティの場に身を置くことは、その先の人生にどのような影響を与えると思いますか?
熊井さん 「GAKUでこの経験をしたから未来は必ずこう変わります」とは言えないと思います。極端に言ってしまえば、「GAKUに来ても来なくても、みなさんはきっと必ず大丈夫」と言い切りたい気持ちさえあります。それが、10代を信じ抜くということだと思うからです。
ただまあ、いろんな知識や情報をインプットして、技術もある程度磨きつつ、アウトプットしたものを他者に伝えていくといった活動をGAKUでは繰り返すので、一歩踏み出す勇気みたいなものは感じやすくなるかもしれません。僕としては、自分たちが向き合った10代の若者たちにはより良い人生を歩んでほしいと、祈るような気持ちではあります。
編集部 なるほど、確かにそうですね……。「GAKUで学ぶことでどんなメリットがあるのだろう」と思ってしまいがちですが、メリットデメリットの話ではないですよね。
熊井さん うーん。学びを契約関係で語っていいのか?という議論は重要ですね。必ずこうなります、しますといった未来を確定的に語るような意味での「契約」なんですが、本来、クリエイションの学びって、どうなるかわからないところに足を踏み入れていくといったニュアンスがありますからね。その「わからなさ」がとても大切なものだったりするんですが、不確かさと可能性というものは表裏一体のようなものがあって、更に言うと、全身全霊で賭けていくのようなものですらある。だから、メリット デメリットの次元ではない領域があるように思います。
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