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心に何かを宿し、関係性を構築する。そもそもを問うGAKUの学び



編集部 GAKUでは、第一線で活躍するクリエイターが講師を務め、10代の若者にクリエイティブな学びを提供されています。座学だけではなく、クリエイターと若者が一緒に試行錯誤しながらクリエイションと向き合っている点が新しく、ユニークだと感じています。GAKUの学びには、どのような特徴があるのでしょうか?

熊井さん クラスのジャンルは建築、ファッション、デザイン、映像など多岐にわたるのですが、共通しているのは、生徒の皆さんが必ず何かしらのアウトプットをすることです。

簡単に言うと「クリエイティブ教育」となってしまうのですが、もう少し踏み込んで説明をさせていただくならば、何かをクリエイションする手前の「宿す」ことも大切にしたいという想いが強くあります。

何かをクリエイションする手前には、「気持ちを宿す」「発想が宿る」のような営みがありますよね。ともすればアウトプットばかりに目が向きがちですが、それに先立っている事柄こそを意識しています。一方で、そのアウトプットされたものを実際に展示したり、冊子にまとめたりといった形で、いかにGAKUの教室だけに留めておかずにいるかということも大切にしています。

左から杉田さん、熊井さん。取材は学校帰りの子どもたちが集まるGAKUで実施した

左から杉田さん、熊井さん。取材は学校帰りの子どもたちが集まるGAKUで実施した


熊井さん 「宿し、宿される」というのは、人と人の「関係性」の中で何かを学び、クリエイションすることを重要視しているということでもあります。そのため、クラスごとにスタイルはまちまちですが、できるだけ少人数制にしています。多くのクリエイターの方々が講師を務めてくださっているのですが、みなさん本当に親身になって生徒と向き合い、その時間を大切にしてくれています。

そういった育まれている信頼関係がすべての基盤であるようにも思います。そのなかで、それがすぐに理解できないとしても「この人の語っていることは、きっと大切なことに違いない」と感じることができたり、自身の考えと違っていたとしても「そういう視点もあるんだな」と受け止めることができたりする。つまり、学びを深めていくことができるんです。

逆に言うと、そういった関係性を築けていないのに、あれこれ言われても、なかなかスイッチは入らないですよね。それは、本来、年齢を問わずにみんなそうだと思うんです。そして、生徒と講師となるクリエイターの関係のみならず、生徒同士の関係や私たち事務局との関係であるとか、さまざまなゆるやかな関係を大切にしていきたいと考えています。

さらに言うと、その関係性というものはこちらから無理に迫るものではないと思うんですね。それはかえって鬱陶しいものになりがちだと思います。自分たちが10代の頃を思い出せば、大人もそれが分かるはずですよね。

そこにおいても、GAKUでは、クリエイター自身も明確な答えを持っていない問いだったり、切実な課題感だったりを晒しているということが重要な要素であると考えています。なぜなら、絶対的な答えがないものに対しては、クリエイターも生徒もフラットで平等だからです。

なので、GAKUでは、さまざまなクリエイション領域のクラスがありますが、いずれも基本的にそもそものところを問うかたちになっています。例えば、そもそも人はなぜ、装うのか、建築をつくるのか、音楽を鳴らすのか。それをみんなでクリエイションに向かいながら考えていく。そうすることで、自分の中にあった「そもそも」にも気がついていくようにも思います。


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