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未来は変えられる! ブルーシーフードガイドのススメ 

ブルーシーフードガイド 2024年 全国版

ブルーシーフードガイド 2024年 全国版。


小林 漁業の制度が70年ぶりに変わりました。でもそれだけで成功とはいえない。実際に漁業者の仕事が事業として成り立って、流通事業者の人たちもやってみてよかったと思えるかどうか。そして繰り返しになりますが、すごく大事になってくるのが消費者の存在です。トレーサビリティがあるもの、持続可能なものを選んでもらうことですね。

井植 私たちの提案は「ブルーシーフードガイド」です。日本で手に取ることができる水産物の持続可能性を科学的に評価して、おすすめだけを掲載しています。欧米で展開されている同様のガイドでは、赤信号、黄色信号、青信号みたいな感じに分けて、「赤=食べるな」というメッセージもはっきり載せているんです。でも、それだと日本人のメンタリティには受け入れてもらいづらいと思いますし、このガイドを発行する目的として、企業にダメージを与えようというつもりはまったくなかったので、日本では「青信号=おすすめの魚」だけを紹介しています。それを美味しく、楽しく食べていったら、すなわち地球に優しくあることにつながるんだよというキャンペーンを12年間、続けているんです。

小林 井植さんらしい取り組みだなと思っています。私がいいなと思うのは、このガイドを通して魚の旬を知ることにもなりますよね。今いちばん美味しいから選ぶという選択が、変革を進めている漁業者や流通事業者を応援することにもつながります。

ブルーシーフードガイドの冊子。左が話に出てきている、2023年の広島県版。

ブルーシーフードガイドの冊子。左が話に出てきている、2023年の広島県版。


井植 全国版以外に、一部の地域では地方版も出しています。小林さんの地元の広島県版もありますよ。湯崎知事と連携協定を結んで、お互いに情報交換をしながら、その地域に根ざした評価をしています。パートナーも常時募集していて、現在は80社近く。一緒にイベントをしたり、パートナー自身がブルーシーフードガイドから優先的に調達してくれたりしています。

小林 ガイドにのっとった対応をしているレストランも掲載していますよね。外食時の参考になります。

井植 ぜひご活用ください。みんなそれぞれにできることがありますね。

小林 そうですね。一番身近なところで実践できるのは、実は消費行動なんです。自分が食べるもの、買うものを少し変えることで、全体にいい影響を及ぼすことができます。



井植 私たちも引き続き積極的に発信していきたいです。

小林 発信というと、多くの人に伝わったらいいなと思うことがあって。日本は人口が減少していく社会がこれから数十年続きます。将来は暗いのではないかと見えているかもしれませんけれども、私たちが十分に変わっていけば、明るい未来は待っています。そのために、政治・行政は今年中に約1万個の規制の見直しを終えるべく、変革を進めているところです。未来は変えることができる。そう皆さんにも前向きに思ってもらえるように活動していきます。

井植 バーベキューからデジタルトランスフォーメーションの話まで、すごく視野の広がるお話をありがとうございました。

小林 こちらこそありがとうございました。今後の連載も楽しみにしています。


トレーサビリティがあるもの、持続可能なものを選ぶこと。消費者である我々も、少しでも意識を持って取り組めば、海の豊かさを守ることに十分貢献ができるのだ。まずは、日常の暮らしから変えていこう。


笹井タカマサ=写真 合六美和=取材・文

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