青い空に、青い海。それを守るって当たり前。わかっている。課題は、アタマで理解していても生活になかなか落とし込めないってことなのだ。あそぶ、たべる、つかうといった日常の行為の延長に、どう「まもる」を結び付けていくのか。
青い海、青い空を守る「
The BLUEKEEPERS project」では、70年ぶりの漁業規制改革を実現した衆議員議員・小林史明さんを招いた。
日本の漁業はどう変わったのか、変わっていくのか? 私たちにできることは何か?
お話を聞いたのは…… | 井植美奈子さん ディビッド・ロックフェラーJr.が米国で設立した海洋環境保護NGO[Sailors for the Sea]のアフィリエイトとして独立した日本法人「一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局」を設立。水産資源の持続可能な消費をめざす「ブルーシーフードガイド」、マリンスポーツの環境基準「クリーンレガッタ」等のプログラムの開発と運営を手掛ける。京都大学博士(地球環境学)・東京大学大気海洋研究所 特任研究員。OCEANS SDGsコンテンツアドバイザー。 | | 小林史明さん 衆議院議員。 「テクノロジーの社会実装で、多様でフェアな社会を実現する」を政治信条に規制改革に注力。行財政改革、労働市場改革、デジタル規制改革、放送・通信改革等に取り組む。現在は経済構造改革、スタートアップ政策、社会保障制度改革を中心に、競争政策、党改革も推進している。第1-2次岸田内閣でデジタル副大臣兼内閣府副大臣を務め、デジタル臨時行政調査会を創設。見直すべきアナログ規制の調査を行い、一括法改正に向けた計画を提言した。菅内閣府では内閣府大臣補佐官として、ワクチン接種促進事業を統括、VRSの開発・運用をリードした。広島県福山市出身。
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構造から見直す漁業のあり方。最初の違和感を払拭するために
小林史明(以下、小林) 井植さんは、どうして海の政策に関わるようになったのですか?
井植美奈子(以下、井植) 最初のきっかけは、長年の友人であるディビッド・ロックフェラー・ Jr.さん(米財閥ロックフェラー家の当主)とその夫人のスーザンさんが、ものすごく熱心に海洋環境にコミットしていて、話を聞くうちにこれは日本でも必要だなと感じたことでした。そして海洋環境のNGOを立ち上げた頃、小林さんとも初めてお会いしましたよね。共通の知り合いがいて、たまたまお話する機会があって。小林さんは当時、議員に初当選なさったばかりでした。お互いちょうど駆け出しでしたね。
小林 タイミングが良かったですね。僕は2012年12月に初当選してしてしばらく、党で開かれている様々な会議に出るようにしていたのですが、そのひとつに水産庁に関わる水産部会という、まさに海の政策に関わる会議がありました。漁業者が稼げないという議論が交わされていたんですけど、燃料代が上がっているから、じゃあ燃料代を補助しようという話で。そのときにすごく違和感を覚えたんです。僕は、それで漁業が良くなるとは思えなかった。
井植 小林さんはご実家が魚網のメーカーという背景もあるので、事情に詳しいですよね。
小林 そうですね。家族から聞いていた話もありますが、漁業に関わる人たちに改めて意見を聞いて回ると、漁業には構造的な問題があることがよくわかりました。そこにある問題を解くことができたら、漁業者が稼げるだけなく、もっと日本の魅力を生かすことにもつながると思ったんです。さらに踏み込めば、日本の安全保障にもつながっていく。日本は津々浦々と言われるように、港ごとに食文化やお祭りがあって、すごく面白いですよね。そんな海沿いの生活を守ることは、国境を守ることにもなるわけです。そういった気付きから、漁業問題に注力し始めたのが、2012〜13年ぐらいでした。
井植 そのとき、ちょうど小林さんとお会いして。なんてすごい国会議員の方が出ていらしたんだろうと思いました。広く深くいろんなテーマに突っ込んでいらっしゃって、しなやかな考え方に共感しました。海つながりということで、それからいろんな話をさせていただきましたよね。
2015年時点の世界および日本の漁業生産高の推移のデータ。ここからさらに減少が続き、日本の漁業の生産高は2分の1となっている。今ではさらに減少し、世界第8位の漁業生産量となっている。/出典=「我が国水産業の現状と課題」内閣府資料
小林 そもそも突き詰めていくと、日本は漁業政策自体がおかしいと。
井植 はい。それは数字で見ても明らか。この30年間で、日本の漁業の生産高は2分の1に減り、でも世界は2倍に成長していますから。
小林 どう考えても、日本だけおかしい。
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