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日本の海洋面積は世界6位、その資源を活かすために



井植 漁業改革にあたり、課題はどんなところにあったのでしょうか。

小林 ふたつあります。まずひとつは、魚を獲りすぎている問題。もうひとつは、世界的に養殖業が伸びている中、日本でも新規参入しようとする意欲的な事業者がいても、地元の漁協から制限されてしまう問題。すごくわかりやすいので、私はストレートに「おかしい!」ということを言い続けました。その論点が注目されて、当時の菅官房長官とも連携をすることができて、大きく改革することができました。

井植 ものすごく大変な改革だったのではないかと思います。

小林 ただ、反省も大きかった。水産庁をはじめ、漁業の当事者たちが過去にやってきたことを否定しすぎたんです。それによって、協力を得づらい状況を作ってしまった。

井植 なるほど。

小林 過去の政策には、その当時の背景があるわけです。そこに敬意を持って、関係者の方々と接することが大事だったなと反省しました。実はこれを気付かせてくれたのが、井植さんだったんですよ。井植さんの活動は、いつも明るくて楽しい。怒りじゃない。「必ず良くなるよ!」っていうコンセプトを大切にしながら活動していらっしゃるのを見て、改革というのはコミュニケーションがものすごく重要なのだと学びました。こっちの方が楽しいから一緒にいきましょうよ!っていう。



井植 でも、私もかなり手探りだったんです。日本での国際NGOの活動は本当に少ないですし、特に水産はものすごくニッチな分野でしたし。

小林 今はいかがですか?

井植 2015年にSDGsが動き出してからは、海洋環境や環境問題もメジャーな議題となり、扱っていただけることも増えました。ただ、それでも受け止めてもらえないケースも本当に多くて……みんなで一緒に楽しくやろうとする姿勢が大事だなと、かなり最初の方から意識するようになったんです。

小林 欧米の手法そのままではうまくいかないだろうし。

井植 そうなんです。私たちが考えているのは、次の世代にどういう地球環境をつなげていけるのかということじゃないですか。



小林 そのとおりだと思います。環境に良いこと、生活が豊かになること、関わる働く人も幸せになれること。全部が一致すれば……

井植 すごくいい仕組みになるはず。

小林 ですよね。最初の話に戻りますが、漁業者の所得を倍増することは、夢じゃない。日本は、海洋の面積でいくと世界第6位です。ものすごい成長産業になる可能性があります。2018年、70年ぶりに実現した漁業法改正で、魚の獲りすぎと新規参入による問題をクリアすることができました。
 

NGOと国会議員。立場は異なるものの海を守りたい思いは一緒、70年ぶりに漁業法改正を成し遂げた。その先に両名が見据える展望は何なのだろうか、次回に続く。

笹井タカマサ=写真 合六美和=取材・文

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