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アルコール依存症になりやすい人の特徴



――依存症になりやすい人っているのでしょうか?


依存症に進んでしまう方は、真面目な方、孤立している方が多いと感じます。

例えば、お酒でストレス解消するというのは誰もが経験があると思うんですね。ただ、同僚や友達とグチを言い合いながら飲むというのは、まだいい。

ところが、これはジェンダー論にもつながるのですが、「男は弱みを見せちゃいけない」と思っていたり、人に相談できずストレスや悩みを一人で抱えていて、お酒で紛らわしている方は依存症になりやすい。

先ほども言ったように、不安や不満を抑えようとして、お酒を飲む方は危ないと思った方がいいでしょう。あと、実は依存症を治療したら、人に悩みを打ち明けられるようになったという方も多いんですよ。

――なるほど、人と話したり、共有する。そのうえで、楽しく飲むことが大切なんですね。他に依存症にならない飲み方はありますか?

個人差はありますが、一般的に肝臓の分解能力は、最大でも1時間にアルコール10g程度と言われています。そこから逆算して、生活に差し支えるレベルまで飲まないということ。そもそも飲む量をコントロールできないというのは、依存症の危険が高いですから。

またアルコール依存症というのは慢性疾患です。だから、断酒をしていた方が、再び飲み始めると、コントロールができなくなることが多い。一度依存症になってしまったら、体質が完全に変わったと思った方がいいですね。

――そうなる前にコントロールするということが大切なんですね。

そうですね。もう1つ気をつけた方がいいのは、アルコール性認知症です。アルコールの大量摂取を長期間続けていると、脳が萎縮をするんですね。特徴的なのは、一般的な認知機能検査ではあまり問題がないんですけど、昨日話したことを今日覚えていないとか、短期・中期の記憶が保持できない。



――昨日どうやって帰ってきたか覚えていないということがあるのですが……。

記憶を失くすことが増えてきたという方は危ないと思いますね。

アルコール性認知症の場合、お酒をしばらく抜いたら、認知機能が回復する方もいらっしゃいますが、あまりにも長期間、飲み続けている場合には、戻らない場合もあるんです。

認知症は高齢者の病気と思われていますが、アルコール性認知症は若い世代でも起こるリスクがあります。飲酒量と脳萎縮には相関関係があると言われていますから、記憶を失くしやすい方は、まだ若いからと思わず、早めに飲酒量を減らすようにしてほしいですね。


記憶を失くすまで飲み続けるという人は要注意。適度に楽しく飲むことが、精神的にも大切なのだ。

林田順子=取材・文

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