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2024.01.03

からだ

アルコールとストレス、高リスクはどっち? 肝臓専門医に聞く“酒の適量”



「酒好きのための酒HACK」とは……

晩酌が習慣化してしまって、なかなか酒を控えられないという人もいるだろう。では、一体どれくらいなら、飲んでも体に害はないのか。

今回は肝臓専門医の浅部伸一先生に酒の適量について話を聞いた。
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話を聞いたのはこの人!浅部伸一●1965年、大阪府生まれ。医学博士、肝臓専門医、消化器病専門医。東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院に勤務。国立がんセンター研究所などを経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に留学。現在は自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科准教授。自身も大のワイン好き。

浅部伸一●1965年、大阪府生まれ。医学博士、肝臓専門医、消化器病専門医。東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院に勤務。国立がんセンター研究所などを経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に留学。現在は自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科非常勤講師。自身も大のワイン好き。

アルコールを毎日60g飲む人は要注意!



――まず、お酒に適量というのはあるのでしょうか?

これが難しくて、一概にすべての方に当てはまる適量はないんですよ。ただ、厚生労働省からは、健康面を考慮して1日あたりの純アルコール量を20g以下にしましょうという発表がされています。

――アルコール20gってどれぐらいの量ですか?

ビールなら中瓶(500ml)1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブル(60ml)です。

――思っていたより少ないですね……。

ただ、この量でも健康リスクは若干上がるという論文も出ていて、飲まないほうがいいという風潮になってきていますね。だけど、これにもやっぱり個人差があるので、絶対にダメとは言えない。

なので、個人的な意見としては1日20〜40gぐらいが適量じゃないかなと。ちなみに60g飲む方は多量飲酒者と定義されています。毎日60g以上飲んでいる方は、注意したほうがいいですね。
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お酒によるストレス解消はアリ?



――となると、やはり休肝日は作ったほうがいいのでしょうか?

休肝日というよりも1週間でどれぐらい飲むかに注意をしたほうがいいでしょう。20g×7日間だから、週に飲めるのは140g。週7日、毎日40〜60gを飲んでいる方はさすがにちょっと多い。

付き合いなどで飲まざるを得ないこともあると思うので、そういうときは他の日のお酒を控えて、週140g以内に収めるようにするのが、適量のひとつの目安でしょう。
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――じゃあ1日60g飲んで、休肝日を5日作るとかでもいいわけですか?

適量という意味では、そうですね。ただ、健康のためにはやっぱり飲まないほうがいいんですね(笑)。

――お酒の健康リスクというのはあると思うのですが、一方でストレスによるリスクもあると思うんです。お酒とストレス、どちらが体に悪いのでしょう?

まずストレスというものはきちんと定義されていないんですね。だからどちらが良い悪いというのは言えません。ただ、お酒によるストレス解消に過度な期待はしないほうがいいでしょう。お酒というのは脳の理性を抑制するものです。

だから酒に酔っている間はストレスが緩和されたように思うのですが、酔いが覚めたら、結局またストレスがかかる。ストレス反応のひとつに血圧の上昇があるのですが、ある研究では酒を飲むと血圧が抑えられるけれど、酔いが覚めると飲む前よりも血圧が上がったと報告もされている。

つまり酔いが覚めたときには、飲酒前よりも悪影響が出る可能性があります。

――ストレス解消は他の方法でしたほうがいいということですね……。

そうですね。どうしてもお酒で解消したければ、誰かと楽しく飲んで発散するというのは良いことだと思います。ただ、お酒に頼ったり、1人で飲んで発散する、いわゆるやけ酒は、かえってあとでネガティブになる可能性があります。

――適量に抑えるにはどうしたらいいでしょうか?

基本的には見える化することでしょうね。例えば、今日飲んでもいい量をきちんとはかる。で、途中でお茶やノンアルコールドリンクを挟んで、ゆっくり飲むといいでしょう。

お酒を多く飲む人は、長時間飲み続けることが多い傾向があります。しかも最初は味わっていても、途中からは惰性で飲んでいることも多い。長時間飲み続けるのは、結局はお酒の量を増やすことにもなるので、2時間ぐらいで切り上げるといいでしょう。

 ◇

適量に抑えるのが難しい年末年始だが、体のためにも、自分が飲んだ量をなるべく意識することが大切だ。

林田順子=取材・文

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