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“黄金期ベンツ”最後のモデル、その乗り味とは?

「このW124は『ベンツがベンツらしかった時代の最後のモデル』と言われていて、見た目だけでなく作りの面でも重厚さを感じさせてくれます。内外装の質感はもちろんのこと、ドアを閉める音もバシンと鳴っていいんですよ。こういうところが高品質なんだと思います。これは父からの受け売りなんですけどね(笑)」。



細かく見れば樹脂パーツの劣化など気になる部分もあるようだが、懐かしさを感じさせる“ヤングタイマー”な佇まいは唯一無二の魅力だ。

「高らかに旧車と謳うほどヴィンテージなモデルではないので、走りはちゃんとし過ぎるほどちゃんとしています。当時で言えば高級車ですからね。むしろ最近の車にはない、ずっしりとした安定感が楽ししめるんです」。



「出張先でレンタカーを利用することもあるのですが、最近の車はすごく軽くて、僕にとっては何だか味気ないんですよ。W124のアナログな乗り味の方がしっくり来ます」。

そこに一切のヤセ我慢はない。その証拠に、家族と一緒に福井まで帰省するのもW124とともに、だ。



「オートクルーズが付いていますから、長時間運転しても疲れません。シートは快適ですし、ハンドルやスイッチが手元にあり、運転中の操作にストレスを感じさせないインテリアの作り込みも、完成度が高いなと思います」。

運転は基本的に週末で、自宅のある埼玉から都内への移動などがメイン。車内に流れるのは家族の時間だ。



ワゴンタイプで積載量も大きく、荷室もフラットなので荷物が積みやすい。後部座席は倒れてフルフラットになる。休憩中はそのフラットな荷室に腰かけて、子どもたちとおにぎりを頬張ることもあるという。

「先日、高さが185cmにもなる棚を購入したのですが、楽々持ち帰ることが出来ました」。



「不満点と言えば、ミラーがたためないこと。そのせいで都内にあるような立体の駐車場には停めさせてもらえないんです。でも、縦の長さのわりに横幅はそれほどない車体なので、都内での乗り回しは抜群にいいです。小回りも利きますね」。



購入時から15年、本格的に自分の愛車にしてから5年弱。その期間、大きなトラブルは特になかったそう。

「マイナーなトラブルはちょこちょこあるので、簡単なメンテナンスなら自分でやるようにしています。自分の手に負えない場合は、近所にオールドメルセデスの専門店があるので、そこに持って行きます」。



「この年代のベンツもそろそろリペアパーツが枯渇しはじめているようで、あと何年乗り続けられるか……。完成度の高いモデルなので、純正のこの仕様のままできるだけ長く乗り続けたいんですけどね」。

仕事柄か、小林さんはオーセンティックなものへの憧憬も深い。

「例えば、僕は運転中にカーラジオを聞くことはないんですけど、伸縮式のアナログなラジオアンテナのルックが気に入っているので、このままキープしています」。



「詳しい人に見てもらったところ、この車は内装の状態がとてもいいらしいんですよ。外装のエンブレムもそうですが、シートのファブリックやウッドパネルの質感など、上質を感じさせるディテールがお気に入りです。車内で子どもがお菓子をこぼしたら、すぐに掃除します!」。



それから、どんなに多忙を極めていても定期的に洗車をするのが小林さんのルーティン。

「洗車をしているあいだって、無心になれるんですよね。それがいい気分転換になってるんですかね」。


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