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ピンチに直面したら、みんなの意見を聞いて最善策を選ぶ



前述のとおり、この日も福岡から直帰して取材に応じるなどファビアンさんはとにかく多忙。それに加え会社では人の上に立つ立場ということもあり、トラブルも少なくないことは容易に想像できる。

例えば、壁にぶち当たったときはどう乗り越えてきたのだろうか。

「トラブルがあったときはまず自分自身の気持ちを穏やかに整え、目の前の状況を冷静に見るように心がけています。

あと良くも悪くも私は楽観的な性格なので、仮にものすごく大きなトラブルがあっても、シリアスに考えすぎることがありません。トラブルを俯瞰し、いかに正しい解決策をもって対処するかということが非常に重要であると考えます。

また悩みや心配事を自分ひとりで抱え込むということはなく、チームで話し合っていろいろな人から意見を吸い上げて解決策を選んでいきます。

ただ私の仕事において、ビジネスチャンスの難易度が高くなければ自分が手掛ける意味がないと思っています。自分が関わるからには、大きなチャンスと大きなリスクは表裏一体なのだと思っています。

根本的に、成功ばかりのビジネスなんて退屈じゃないですか。やはりピンチがあるからこそ、成功したときの喜びもひとしおなわけです」。

最後に時計を絡めた質問を。“Time Is Money”とよく言われるが、マネー以外で時間と同等に価値を見いだしているものはあるのか訊くと「家族や友達、あと……」と挙げたのが旅行だ。

「自分の中で旅行は重要な時間です。できるだけ遠くで、なおかつユニークなところに行くようにしています。普段は行かない場所を選び、そこに新しい経験が待っていることを期待しています。

以前、北極の近くまで行ったのですが、とてもいい経験になりました」。

インタビュー終了後、「ありがとうございました」と言うと丁寧にお辞儀をする。席を立とうとするファビアンさんに今夜、何を食べるのか訊いてみた。

「やっぱりトンカツかラーメンですね。まだお店が決まっていないので、東京・銀座エリアでどこかおすすめのお店があったら教えてください(笑)」。

そう言うとポケットからiPhoneを取り出し、せわしなく検索機能を起動する。ファビアンさんは、プライベートも忙しいのだ。
ファビアン・ドゥ・ノナンクールの10問10答

Q1. 日本に来たら必ずすることは?
美味しいご飯屋さん巡りと皇居ラン。

Q2. ネットで思わずチェックしてしまうニュースは?
国際的なニュース。

Q3. 睡眠時間は?
6〜7時間。

Q4. 好きなジャンクフードは?
中東のほうで食べられる「シャワルマ」というサンドイッチ。

Q5. 食べてみたい日本食は?
カツ丼、もんじゃ焼き。

Q6. 帰国の際に必ず買って帰るものは?
ロイズのチョコレートチップス。

Q7. 子供の頃の夢は?
機械工学のエンジニア。

Q8. やめられない癖は?
海外ドラマの視聴。

Q9. コレクションしているものは?
筋トレ器具。

Q10. 1日24時間ですが、時間を増やせるなら何をする?
読書。
ベル&ロス ジェネラルマネジャー ファビアン・ドゥ・ノナンクール●タグ・ホイヤーで時計業界におけるキャリアを重ね、同社ではさまざまな要職を歴任。2010年より販売部門のトップとしてベル&ロスに入社。アジアを担当した4年間は日本に住んでいたこともあり、大の親日家としても知られている。2017年より現職に就任している。


山本雄生=写真 オオサワ系=文

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