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隙のないコンパクトBEV

「チンクエチェント」はイタリア語で500を意味します。なので、車好きはこの車のことを“チンク”と親しみを込めて呼ぶ。アバルト500eはBEVだから“アバルト電気チンク”だ。

で、コイツを評価するにあたって重要な視点はふたつある。ひとつはホットなコンパクトBEVとして、もうひとつはアバルトとして、それぞれどうか。

元気なルックスは、コンパクトBEVとしては100点満点をあげたい。BEVらしい加速フィールも心地良く、さらに高速クルージングだってお上手。

バッテリー容量こそ少ないけれど、家で充電してそのあたりを走るぶんにはそれで構わない。とにかくコンパクトカーとは思えないほど上質なドライブフィールが身上だ。

では、アバルトとしてはどうか。実は2023年に試乗した100モデル以上のなかで最も印象的だったのがエンジン付きのアバルトチンク最終形だった。

乗っているときのワクワクドキドキが半端ない。それに比べてしまうと完成度という意味では互角ながら、コーフン度で劣る。なんせ静かだから。BEVだから当たり前といえばそれまで。

擬似エンジン音は面白い試みだが、電気のアバルトに慣れていかなければ……と思う。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。所有する愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。



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