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擬似エンジン音、お見事!

正味な話、初めてこの車に乗ったときは、モヤモヤした気持ちになったわけです。だってアレですよ、無音・無振動がウリのBEVなのに、あえてデカいアンプとスピーカーを積んで、疑似エンジン音を響かせようというのだ。

それって、ヴィーガン向けのラーメンに疑似豚骨風味を加えるようなもんじゃないですか?“なんちゃって豚骨ラーメン”ではなく、ヴィーガンラーメンにしかできない澄んだ味わいを目指すべきではないのか。

けれども、頭ではそう思っているのに、アクセルを踏み込むと結構なボリュームの音が響き渡り、それと同時に心も高ぶる。2年の歳月をかけて開発しただけあって、サウンドジェネレーターの完成度は高い。

音に反応してしまうのはエンジンで育った我々世代だけの特性なのか、それとも老若男女に共通する人間の感性として自然なことなのか、それはわからない。とにかく疑似エンジン音、ちょっと気に入ってしまったのだ。

で、冒頭で感じたモヤモヤを解決する方法を思いついた。音だけだと中途半端だからモヤモヤするのだ。

もっと徹底的に、“疑似ガソリンの匂い”と“疑似排気臭”、さらに“疑似オイルが焼ける匂い”まで付けてくれたらスッキリする(はず)。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。最近試乗した、BYDとヒョンデ(HYUNDAI)の完成度の高さに驚愕したとか。「細部のクオリティも上がっているので、うかうかしていられないと思った」とか。




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