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2024.02.12

ライフ

伝統工芸を“買う”ではなく体験に。海外からの旅行客も多い「Bed and Craft」仕掛け人に聞く



当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら。

「うちの地元でこんなおもしろいことやり始めたんだ」「最近、地元で頑張っている人がいる」――。そう地元の人が誇らしく思うような、地元に根付きながら地元のために活動を行っている47都道府県のキーパーソンにお話を伺うこの連載。

今回にご登場いただくのは、富山県南砺市井波で「お抱え職人文化の再興」を掲げて活動するデザイン会社〈コラレアルチザンジャパン〉の代表、山川智嗣さん。代表的なプロジェクトの一つが、分散型ホテル〈Bed and Craft〉の運営です。

山川さんが拠点とする井波は、伝統工芸品「井波彫刻」の産地。この地域に多数いる職人に弟子入りできる宿をコンセプトに、〈Bed and Craft〉を立ち上げました。職人の技に直接触れられることが評判を呼び、国内外からたくさんの人を迎え入れています。海外でも活躍されていた山川さんが、なぜ井波を選んだのか。山川さんを魅了した井波彫刻の美しさ、活動をしていくなかで変化してきた町の様子などを伺いました。
山川智嗣さん(やまかわ・ともつぐ)
富山県富山市生まれ。明治大学理工学部建築学科で建築を学び、カナダに留学。2009 年に中国の上海へ渡る。建築設計事務所〈MADA s.p.a.m. Shanghai〉にてチーフデザイナーとして多くの公共建築、商業建築の設計に携わる。2011年、上海で自身のデザイン会社〈トモヤマカワデザイン〉を設立。2015年に帰国し、富山県南砺市井波に移住。2017年「お抱え職人文化を再興する」をコンセプトに、ものづくり職人と新たな価値を創造するデザイン事務所〈コラレアルチザンジャパン〉を設立。職人に弟子入りできる宿〈Bed and Craft〉をプロデュースし、コンセプトの異なる6つの棟のホテルを運営している。

大都市での生活から一転、井波への移住

©️Kouske Mae

©️Kouske Mae


富山県南砺市井波でデザイン会社を営む山川智嗣さん。建築家の山川さんはカナダへの留学、中国での起業など長らく海外で生活をしていました。一転、2016年には富山県南砺市の井波に移住。なぜこの土地を選んだのでしょうか。

「僕は富山市の出身なので、井波という土地の存在は知っていました。地元の小学生は遠足で井波に出かけることもあり、昔から職人がたくさん住んでいる町というイメージは持っていたんです」

もともとものづくりに興味があった山川さんは、自由にものが作れる環境に住んでみたいという夢があったそうです。

「大学は東京に進学し、卒業後は東京で就職。それからカナダに留学し、その後中国の上海へ。ずっと大都会を転々としてきました。そして2011年に上海でデザイン事務所を起業。6年ほど中国に住んで、そろそろ日本にも拠点が欲しいと思った時に浮かんだのが職人の町である井波でした。移住を考えてから改めて井波を訪れると、至るところに工房がありどこからともなく木を削っている音が聞こえてくる。とても情緒がある町だと感じました」

移住してみると、建築やデザインにおいてとても仕事がしやすい環境だったと話します。

「ものづくりをしている人が周りにたくさんいて、職人が身近な存在です。だからこそ建築の仕事で、家を建てる際など彫刻家の方に『こんなドアハンドルが欲しいから、一点物で作ってほしい』とお願いすることができます。それが建築物に入ると、唯一無二の空間が出来上がるんです。こんなふうにやりとりができることは、作り手として非常に面白い。クリエイターや建築家にとって、とても魅力的な場所だと思いました」


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