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2023.10.21

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身だしなみも心身も「ととのえる」。グルーミングブランド「AUGER」が京都の禅寺とコラボ



当記事は「Forbes JAPAN」の提供記事です。元記事はこちら

「何分だと感じましたか?」最後の坐禅が終わる合図のあと、伊藤東凌は参加者に問いかけた。そう長くは感じなかった。5分くらいか——と思案していると「10分経ちました」と静かに教えてくれた。参加者からは思わず「えっ」と驚きの声が漏れる。

「3分くらいに感じた、とおっしゃる方もいます。日々感じる時間の流れとの変化を感じていただけていたら嬉しく思います」。そうか、これが今海外の経営者も注目するという「禅」の力なのか——と腑に落ちる感覚がある。

平日の午前中に京都に向かう新幹線内は、大きなスーツケースを転がす海外からの観光客の姿が目立った。先日の取材で米国に拠点を置く著名な実業家から聞いた話が思い起こされる。海外の顧客に日本を案内する際、ただ観光地や食事処に連れていくだけではなく、そこにある歴史や文脈に興味をもたれ、説明することが増えたそうだ。

昨今の日本文化への注目は「SAMURAI」や「SUSHI」から大きく脱皮し、私たち日本人も忘れかけている文化慣習の見直し、あるいは自分自身の見直しに繋がっていくのかもしれない。

100年以上続く技術から新たな文化を育む

京都駅からバスに乗り招かれたのは臨済宗建仁寺。両足院で「心身を整える」ことをコンセプトにイベントを開催したのは、貝印のグルーミングツールブランド「AUGER」だ。2022年3月に誕生した「AUGER」は「身だしなみを整える時間」が、自分と向き合い、心に触れる豊かなものとなることを目指している。

そんな「AUGER」が、「身だしなみを振る舞いに。グルーミングを文化に。」をテーマとした 「AUGER×sequence KYOTO GOJO コラボレーションイベント」を2023年9月30日(土)から10月29日(日)まで開催している。

「AUGER」ブランドのアイテム

「AUGER」ブランドのアイテム


貝印といえば、100年を超える歴史と刃物製造における確かな技術をもつ日本の老舗メーカーだ。いわゆる「100年企業」が多いことも、日本文化の特徴のひとつとして語られることが多い。伝統的な野鍛冶の精神を原点にもち、持続的な発展を遂げてきた貝印のブランドだからこそ、グルーミングを「文化」にしたいというメッセージに重みが出る。
 

開催期間に先駆け、9月29日(金)にDAYとNIGHTの2部制でレセプションイベントが催された。DAYイベントでは、両足院にてシーシャのシステムを利用した「吸うお茶」による茶会と、市中の山居を思わせる静寂空間における「坐禅・瞑想」が実施された。

自分が心地よい文化とその嗜み方に向き合う

聞き馴染みのない「吸うお茶」とは、シーシャのシステムを利用し、深呼吸をしながらお茶の香りや風味を楽しむ嗜好体験だ。これを提供するのは、京都の西陣で活動するアートコレクティブ「Ochill」。

その名前の由来について、「日本人にはもともと『腹に落ちる』や『恋に落ちる』など『落ちる』ということに特殊な感覚をもっている」ことに注目したと話す。日本らしいWell-beingを追い求め、嗜好品の再解釈と再構築を軸に据える。



世間に知られる通り、「お茶」は近世の日本で大きな役割を果たしている。武士が刀を外して入室する茶室は政治に欠かせない交流の場であったことは、歴史を学んだことのある日本人には馴染み深い話だろう。

通常は飲むものであるお茶をシーシャと同じ方法で吸うことにより、深い呼吸と鼻に抜ける茶葉の香りを嗜むことができる。それはお茶の新たな側面を知ることであり、「私は茶葉の香りを感じることで落ち着くんだ」ということを再認識することである。つまり、自身が身を置く文化とのつながりを自分のなかにあらためて発見できるのだ。

正すのではなく「調える」という意識

続いて、臨済宗建仁寺派両足院副住職である伊藤東凌による「坐禅・瞑想」が行われた。両足院の庭園を眺め、縁側で坐禅を組む。日々分刻みのスケジュールを送るなかでは感じることのない体の変化や意識の変化に身を任せる。冒頭のように10分の坐禅が5分あるいは3分であるかのように感じる。坐禅についてある程度の前知識をもっていても、それは不思議な体験である。



「私たちは無意識のうちに『反射』の生活を送っています。『反射』とは身の回りで起こったことや感じたことに対して、無意識のうちに身体あるいは思考で反応することです。例えば体のどこかにかゆみを感じたとき、多くの人はそれがどのようなかゆみであるか、どう体を動かしてそこにアプローチするか、を考える前に指先でそこをかいています。

人間関係でも同じです。ある人が発した言葉に対して怒りを覚えるとする。怒りと感じたその感情には、もしかしたら理解されない寂しさ、驚きなどが含まれているかもしれません。その感情を正しく分析しないことには、最善の対応もできません。ただ怒りと感じた感情を抑え込めばよいわけではありません。それでは自分が疲弊してしまいます。何か感じた時には、まずはその感覚や感情を分析すること。それが何か解決策を生み出してくれるかもしれません」

坐禅を通して穏やかになった心に、それらの言葉が染み渡る。さて、昨今サウナの急速な流行に伴って流行した「ととのう」という言葉がある。禅では、自分自身と向き合い、状態を見つめ直すことを「調う」と書くそうだ。

Well-beingな生活を考えるにあたり、「正しさ」を求めるのではなく、分析して自分自身とその周辺とを調整し、調和を目指していく、この「調う」という言葉がヒントになるかもしれない。

一方で、さまざまな人と関わるなかで進んでいく普段の社会においては、身だしなみを「整える」ことも重要だろう。それは社会と自分が心地よく交わるために必要な時間であり、行為だからだ。「整える」と「調える」。外面と内面、それぞれの自分と向き合うことが、毎日に豊かさをもたらすのかもしれない。

イベント概要
■常設企画@sequence KYOTO GOJO
9月30日(⼟)〜10月29日(⽇)
・Exhibition|AUGERアイテム、HARUKA OSHITA×Aitoneの作品展示、
 AUGER×老舗ブランド作品展示(1Fホテルラウンジ)
・AUGER ROOM|AUGERをイメージした部屋への宿泊 
・Café|ホテルカフェとのコラボメニュー提供 
・Event|体験イベント(10月6日(金)・19(木))
・Present|AUGERカミソリをプレゼント(毎日先着10名)







鈴木麻里絵=編集・文
記事提供=Forbes

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