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イベリコ豚はどんぐりを食べるってホント?

ーー日本だと全部生ハムになっちゃうけど、全然違うんですね。

ちなみに、スペインの生ハムについてもう少し説明すると、ハモン・セラーノとは別に、イベリコ豚というスペインとポルトガルにまたがるイベリア半島原産の豚を使ったハモン・イベリコという生ハムがあります。

ーー知ってます! 確か、どんぐりを食べさせて育てているんですよね?

日本だとそう伝わっていますよね……。まず、スペインではイベリコ豚と名乗るための規定があって。

イベリコ豚の血統が、50%以上必要なんですね。で、50%の場合は明記が必要、75%の場合は明記は不要、100%の場合は価値が高まりますから規定をしなくても、メーカー自らが表記します。


タグには100%イベリコ豚と書かれている。


でも、100%イベリコ豚って、全体の約2%しかいないので、スペインでもとても貴重なんですね。

一方、日本はイベリコ豚に関する規定がありません。だから、イベリコ豚が25%だったり、ほぼ入ってなくても、ハモン・イベリコとして売れちゃうんです。


完全放牧のベジョータ。1頭あたりの飼育する広さまで全部決まっているという、めちゃくちゃ厳しい規定があるのだ。


――なんか、騙されていた気分です……。

 
さらに、どんぐりをエサにするのと放牧で育てるのはセットになっていて、これをクリアしたイベリコ豚はベジョータと呼ばれているのですが、これも全体の20%ぐらい。つまり純血統で、どんぐりを食べているイベリコ豚となると0.4%ほどです。

――日本に輸入されているイベリコ豚は、どんぐりを食べている可能性はほぼないってことですね……。

そうですね。どんぐりと飼料、半々で育てたものを「Cebo de Campo(セボデカンポ)」、飼料だけで育てたものを「Cebo(セボ)」と呼ぶのですが、スペインのスーパーでもセボの生ハムがメインなんです。日本でも表記されている商品もあるので、チェックしてみると面白いですよ。


こちらのタグにはセボとRaza50%(50%血統)の文字が。


それとスペイン料理店などで一本の足からスライスして出すお店がありますよね。このときにひづめを見るのも面白いですよ。ハモン・セラーノは白豚が使われますから、ひづめが白ければハモン・セラーノ、黒ければハモン・イベリコってことです。


こちらがイベリコ豚の黒いひづめ。黒いタグは政府公認の純血統でベジョータという証だ。



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