▶︎すべての写真を見る レストランのメニューに載っていることも多い「生ハム盛り合わせ」。
だが、盛られている生ハムの違いを分かっているだろうか。「生ハム好きなんだよね〜」と言いながらも、なんとなく食べている人も多いのでは?
そこで本場スペインの生ハムのスペシャリストに、意外と知らない生ハムの真実を教えてもらった。
話を聞いたのはこの人!
山田悠平⚫︎PRADO代表。純血統ハモンイベリコを専門に、スペインのD.Oギフエロで約10年生ハム造りに従事。現在では餌作りから自社一貫でイベリコ豚を育て上げ、世界初EU有機認証を取得したハモンイベリコを製造。熟成庫から空輸で販売する「Black Tag」を手掛ける。
日本の生ハムは本場の生ハムと定義が違う
ーーそもそも生ハムとは何ですか? 生ハムの「ハム」とは、スペインやイタリアで、豚の後ろ足を意味する「ハモン」からきています。
本場では加熱せず、塩漬けにした豚もも肉を、乾燥させて何年も熟成したものが生ハムで、もともと14kgくらいあった肉が8kgくらいまで凝縮していきます。
ただ、日本の生ハムにあたる非加熱食品規格は「塩漬剤または塩漬液を用いて原料肉を低温(0度以上、10度以下)で7日間以上塩漬すること」となっていて、よくスーパーで見かける生ハムは、調味液につけて1〜2週間で出来上がります。
ちなみに日本の分類では、生ハムは「ラックスハム」と表示されます。作り方は全然違うのですが、日本では熟成した生ハムも、塩漬液に漬けた生ハムも、全部「ラックスハム」になってしまうんです。
こちらがスペインの生ハム。温度や湿度が管理された部屋で何年も熟成させていく。
ーースーパーで売っているものと、本場の生ハムは全然違うものということですか?
そうですね。だから、こだわりのある生産者の中には「日本は生ハムに詳しくないよね」と輸出をためらう人もいるんです。
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