「海の砂漠化」を止めたアメリカの実例
「大気中に放出されたCO2は陸でも海でも吸収されています。さらに大気中のCO2は酸性雨となって海にも降ってきます。CO2を減らす対策は、海の生態系にとっても大変重要な課題なのです」。
世界自然保護基金(WWF) によれば、CO2が海に吸収されると海水の酸性化が進むとされている。サンゴの白化が起こり、貝類など海洋生態系の基盤を担う多くの生物がその打撃を受けるとされている。
ただし、反対に藻類はCO2を吸収して成長する。藻類はまた、「海のゆりかご」と呼ばれるほど多くの生物の住まいや食料となり、生命を育む。そうしたことから、海外では海藻を養殖する試みも行われている。英語で海藻のことをケルプと言うが「ケルプの森の復活プロジェクト」には成功事例がある。
©Monterey Bay Aquarium
「パソコンで有名なヒューレッド・パッカードを母体とした、ディビッドアンドルシールパッカード財団が支援する、モントレーベイ水族館が、ケルプの森を復活させたんです。ディビッドパッカードさんのご息女で海洋学者のジュリーパッカードさん率いるチームによって、彼女の海洋環境に対する情熱をサポートする形で、取り組みが行われたんです」。
©Monterey Bay Aquarium
しかも海藻は、陸上のように肥料や水を与える必要がなく、周辺環境に与える影響もない。
研究によると、日本沿岸の浅瀬で海藻類によるCO2吸収量の平均値は132万トン/年と言われている。しかし、日本のCO2排出量は11億2200万トン/年。「ケルプの森の復活プロジェクト」のように海藻類を増やす取り組みを、日本も実施していく必要があるだろう。
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