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2024.02.18

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俳優・前田敦子が語る仕事観「辛い状況でもハッピーな要素をみつけることが大切」



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かつてのアイドルとしての輝かしいキャリアを経て、俳優業へと転身した前田敦子さん。そんな彼女が主演を務める映画『一月の声に歓びを刻め』が2月9日に公開した。

不安を抱えながら挑んだこの作品を通じて、前田さんが新たに発見した自己表現の可能性とは。
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前田敦子●1991年千葉県生まれ。アイドルグループ「AKB48」の第1期生として2012年まで活動。卒業以降は、テレビドラマや映画、舞台に多数出演、女優として活動している。19年に映画『旅のおわり世界のはじまり』と『町田くんの世界』で第33回山路ふみ子女優賞を受賞。

前田敦子●1991年千葉県生まれ。アイドルグループ「AKB48」の第1期生として2012年まで活動。卒業以降は、テレビドラマや映画、舞台に多数出演、女優として活動している。19年に映画『旅のおわり世界のはじまり』と『町田くんの世界』で第33回山路ふみ子女優賞を受賞。


表現のモットーは「困難な状況でも楽しみを見つけること」

「何か希望がありましたら、言ってください」とカメラマンに優しく声をかけた。鮮やかなピンクの衣装を身にまとい、女優としての品格を漂わせながら、前田さんがカメラの前に立っていた。

その凛とした立ち姿は、かつて国民的アイドルとしての彼女の面影を感じさせつつも、4歳の息子を育てる母親としての温かみ、そして俳優としてのキャリアを積み重ねていることが伺える。



約3年前、30歳の節目にアイドル時代からの事務所を離れ、独立。その後は俳優業を中心に活動し、年々多忙を極めている。

「2023年は特に忙しい年でした。ドラマに出させていただくことが多くて。毎回、これでいいのかなと思うことのほうが多いのですが、さまざまな役を演じる機会をいただけるので、自分が求められていることに感謝して、楽しみながら成長していけたらいいなと思っています」。



以前は目標を立てていたが、今は「次にどんな作品に出合えるか、どんな人に会えるか」と流れに身を任せるスタンスを取っているという。

そんな彼女にとって「楽しむ」ことは、表現者としての大切なモットーのようだ。

「若い頃は、暗く深い作品に魅力を感じた時期もありましたが、辛い状況でも、今は楽しいことを見つけることがいちばん大切だと考えています。ハッピーな要素を見つける傾向が年々強まっているかもしれませんね」。
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難しいテーマに挑んだ、映画『一月の声に歓びを刻め』

前田さんの主演映画『一月の声に歓びを刻め』が先日公開を迎えた。

本作は、国内外の映画祭でも高い評価を受ける、三島有紀子監督の体験談をもとに作られた。三島監督が47年間封印していた「性暴力と心の傷」という難しいテーマにあえて挑み、心の中に生まれる罪の意識を、静かに深く見つめる映画だ。

2月9日よりテアトル新宿ほか全国公開。© bouquet garni films

2月9日よりテアトル新宿ほか全国公開。© bouquet garni films


数年前から三島監督と「いつか一緒に作ろう」と話していた前田さんは、監督が自主制作でこの物語を作ると聞き、主演のオファーを受けた。飛び込みたい気持ちはあったものの、「今の自分にそれができるか」という葛藤を抱えていたと振り返る。

「子供がまだ小さいので、あんまり重い作品を自分で演じられる覚悟がなかったんです。万全の準備ができなくて、『やっぱ無理かも』って心が折れちゃったらいちばん失礼じゃないですか」。
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そんな前田さんの心情を察するかのように、三島監督はずっと待ち続けた。

「監督は私をずっと待っていてくれたので、時間をかけて考える機会があったのはありがたかったです。このように向き合える作品は滅多にありません。

監督が私に何かを託そうとしている感情が伝わりました。自分が向き合い続けてきた非常にパーソナルなことを私に託してくれていると」。

© bouquet garni films

© bouquet garni films


『一月の声に歓びを刻め』は、現代の人々に「生きることの大切さ」を伝えることを目的として制作された。この映画の中心人物であるれいこは、性暴力の被害者でありながら、不屈の精神で生き抜く強い女性だ。三島監督は、れいこの役をたくましさを持つ俳優によって演じられることを望んでいた。

「監督が私をたくましく思ったのは、普段から感情を表に出さない性格だからかもしれませんね。テレビに出演しているときでも、友達と一緒にいるときでも、家族と過ごしているときでも、常にこのままです(笑)。

それが逆に『すごいね!』と言われることがありますが、ただ嘘をつけない、不器用なだけなんですよね」。
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