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サーファーだから海を自分ごとにできた

仲間内で始まった活動は、今やアースデイに催すような年に数回のビッグイベント時には3000人超のボランティアが集うまでになった。多くの人の共感を呼んだのは、「それぞれの人が海への思いを抱いているからだ」と来迎さんは言う。

サーフィンやシュノーケリング、スピアフィッシングなどを通して、いつも恵みを与えられているから、大切な海を美しい姿にしたいと願う人が多いのだろうと。

「僕もサーフィンをしていたから、毎日のように海に身体を浸からせていたから、海の汚れを“自分ごと”にできました。海をきれいにしたい。ゴミを拾おう。

そのような気持ちや感情は、とても自然に、ストンと腹の底に落ちていったんです」。

イベントでは共感者を増やすことにひとつの目的があるため楽しさを大切にする。ただ、雰囲気を緩めすぎないように留意する。フードトラックや物販ブースを多く並べてファンなムードを先行させるのではなく、ベンダーも親和性の高い企業やブランドを選ぶ。

発したいメッセージが場内に漂うことに配慮してきた結果、理想的な形でネットワークが広がっていったと考えるためだ。

さらに近年は啓蒙活動に注力している。その活動をリラーニングと呼ぶが、ネーミングにあたっては「エデュケーションという言葉には上から押し付けるような印象を受けたんです。そうではなく、同じ目線に立って“もう一度学ぼう”というニュアンスにしたかった」という意図があった。

訪問する対象は幼稚園から総合大学にいたるあらゆる教育機関。呼ばれたらどこへでも行き、自分たちから働きかけもしている。

「自然界に出てしまったモノは除去し、同時に排出されないようにする必要があります。今は風呂から溢れる湯に対して雑巾掛けをしながら対処している状況。元栓をしっかり締めることが重要です」。

掲げる最終ゴールは自分たちのような活動団体が不要となる世界の到来だ。そのときまで往時のハワイを取り戻そうとする歩みは、共感者を増やしながら、歩む力を強めながら続いていく。

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1980円。イカロス出版

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2012年から続いている本連載が一冊の本『海と暮らす〜SEAWARD TRIP』となって登場! これまでオーシャンズで紹介されてきた記事から20人のインタビューと20本のコラムを厳選して綴じたもので、「暮らしを豊かにする金言」がたっぷり。

海との距離をギュッと縮めてくれる内容は、まさに“海をいつも感じていたい”という気分にぴったりなのだ。
この記事は、オーシャンズ2月号のほんの一部。すべての特集は本誌でチェック!


ショーン・デイビー=写真 小山内 隆=編集・文

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